葉タバコほぼ全滅/台風2号
マンゴー落果、キビ折損/被害総額は9億9000万円
宮古島地方を約6時間暴風域に巻き込んだ台風2号による農林水産物の被害が拡大している。収穫最盛期だった葉タバコはほぼ全滅、サトウキビは梢頭部の折損被害が各地で相次いでいる。マンゴーの落果やハウス損壊も発生した。宮古農林水産振興センターが29日現在でまとめた被害速報によると、被害総額は9億9400万円に上る。最大瞬間風速は5月では過去最大の50・4㍍を観測。停電は1万8000世帯に及んだ。
宮古島地方気象台によると、台風2号は28日午前6時に宮古島地方を強風域に、同日午後1時ごろには暴風域に巻き込んだ。その後の宮古島地方は約6時間暴風が吹き荒れた。猛烈な風は停電や電話の不通を招き、農作物には甚大な被害を及ぼした。
農林水産物で最も大きな被害を受けたのが葉タバコ。強風でちぎられた葉が周辺一帯に散乱し、一部ではビニールもはぎとられた。被害額は確定されていないが数億円単位になることは確実とみられている。
サトウキビは6億2700万円の被害。梢頭部の折損や葉の裂傷がみられた。特に懸念されるのが塩害で、かんがい設備がない畑では被害が拡大する恐れもある。
マンゴーなどの果樹被害は1億4000万円。強風でハウスのビニールが破れて果実が落下したり、傷の発生もみられる。
野菜ではゴーヤーやトウガン、オクラ、パパイアなどで被害が発生しており被害額は2億200万円だった。
畜産では畜舎の損壊をはじめ子牛やニワトリの死亡もあった。被害額は390万円。水産業でも1100万円の被害が出ている。
この台風の影響による雨量(27日午前8時から29日午前0時)は▽平良下里90㍉▽宮古空港86・5㍉▽城辺71・5㍉▽多良間空港160・5㍉▽下地島空港93・5㍉-だった。
停電は全世帯の7割以上に当たる宮古島市1万7800戸、多良間村200戸で発生したが、29日午前8時には完全復旧した。電話は30日午後6時現在も約200回線が不通となっている。
台風の最大瞬間風速50・4㍍は、1938年の統計開始以降では過去最高の風速。51年5月9日の43・7㍍を塗り替えた。