「放射能におびえ生活」/うむい宮古島特別講演会
原発事故、未だ収束せず/松本さんが福島の現状報告
福島県の子どもたちの保養をプロジェクトの一つに位置付けている「うむい宮古島」の特別講演会が16日午後、市中央公民館で開かれた。原発事故による放射能に悩む福島県二本松市のNPO法人「TEAM二本松」の理事で保養担当の松本徹也さんが講演し「福島はあまりにも変わっていない。放射能もなくなっていない。福島の親は、今も子どもたちを放射能から守ろうと必死になっている」と声を詰まらせながら福島の今を語った。
この講演会は「福島を忘れない。二本松からの声を聴く。東日本大震災・原発事故から2年の今」をテーマに開かれた。
松本さんは「福島で生活する親は、チェルノブイリのような事態が起きてしまうのではないかと心配している。あの事故のように子どもたちに何らかの影響があってはならない。そのことばかりを考えている」と放射能被害を恐れる親の胸のうちを報告した。
さらに「子どもが熱を出せば放射能、転んでも放射能が影響しているのではないかと頭をよぎる。放射能で汚染されたものを子どもに食べさせていないか、毎日そんな心配をしながら暮らしている」と話し、子どもたちの今後の成長に何らかの影響が出るのではないかと危惧している親が多いことも重ねて強調した。
そんな親子について松本さんは「少しでも苦しみから解放してあげたい」と保養の重要性を挙げた。放射能におびえなくていい場所で保養することで「子どもは外で元気に遊び、お母さんはその様子をのんびりと眺めていられる環境。そんな保養で親の気持ちを開放させてあげたい」と話す言葉に力を込めた。
宮古島での保養については「こういうところで子どもたちが元気に遊ぶ姿を私自身も見てみたい。親も子も放射能という言葉を忘れられる」と話し、保養地として優れた宮古島の自然環境を表現した。
松本さんは「ぼくたちの力だけでは助けられないことがある。多くの人の力を借りて、手伝っていただきながら福島の子どもたちが伸び伸びと育ってくれることが何よりの願い」と話し理解と協力を求めた。
質疑では、保養を受け入れる際の対応についての質問などがあった。松本さんは「イベントづくしの保養は親子が疲れてしまうことがある。用意された時間を過ごすのではなく、のんびりと、普通に過ごせる保養を求めるニーズがある」などと話し、地元住民との交流は大切にしながらも過度なもてなしはなくても良いとの考えを示した。
講演会に参加した市民らは、松本さんの生の現場報告を静かに聞き、福島で暮らす親子の現状を知るとともに、保養の重要性について理解を深めた。