伝統芸能継承に気運/城辺保良集落
保良クイチャー保存会発足
年々高齢化が進む城辺保良部落会(斎藤利夫会長)だが、中高年や青年会、子ども会の間で以前華やかだった頃の民俗芸能を再び取り入れ地域を活性化させようという動きが出始めている。保良ヨンシーをはじめ、応援歌、以前は盛んに歌い踊られたといわれる「保良川のうた」や「クイチャー」など。記憶しているお年寄りもだんだん少なくなる中で、その発掘作業は急務だとして、このほど「保存会」の発足を住民に呼び掛けた。
クイチャー大会に向けて/会長は砂川春美さん
きっかけは、2011年にクイチャーフェスティバルに出演したことだった。砂川春美さん(62)が宮古民謡協会師範の仲間寛安さんの父親寛栄さんが書き残した工工四の楽譜を見つけた。20数年間途絶えていた保良クイチャーを再びよみがらせ保存継承していこうと集落の長老・島尻義雄さん(96)に踊りを教えてもらい始めたことが、集落内で共感を呼び、このほど保存会を結成することになった。
8月30日、公民館に集った住民を中心に名称や役員選出などが行われ、会長に砂川春美さんが選ばれた。今後「保良クイチャー保存会」として活動していく。将来は平良郷友会にも呼び掛け地域活性につなげたいとしている。集会では、活動日や、年会費のことなども話し合われ、継続に向けての知恵を出し合った。
当面の目標は9月21日に行われる宮古の里の「クイチャー大会」。練習を密に取り組み、11月のクイチャーフェスティバルでは「保良クイチャー」の認知度を高めたいとした。
「保良川のうた」を再び/「保良泉の会」結成
クイチャー復活に触発されて「保良川のうた」を踊り継ぎたいと「保良泉の会」を結成した根間敏子さん(66)。7月8日、部落会に許可申請書を提出して受理された。同月28日に開催された豊年祭で披露し、10月の敬老会でもぜひ踊りたいと張り切る。メンバーは9人。
記録によると、1930年、保良川改設記念祝賀会でお披露目されたもので、作詞は新城真栄、作曲が仲間寛栄。5番まであり、保良川の水は下から湧き上がり、上から添えられ、富貴(うやき)世の到来だ、毎日上がる太陽のように、保良川の水が止むことはない、などと歌い、集落の発展は涸れない保良川によるものだと讃えている。
根間さんは「仕事も定年して、ようやく気持ちにも余裕ができた。保良には今、老人会がない。敬老会が寂しいものにならないよう、伝統芸能を披露してお年寄りに喜んでもらいたかった。みんなで守りつつ楽しんでいきたい」と発足のいきさつを話した。
集落行事の花として/青年会と子ども会も率先
豊年祭や祝賀会、トライアスロンの応援、地域の夏祭りなど、率先してヨンシーや応援歌を踊るのは「保良しぃにん会」(波平直也会長)と子ども会(平良コズエ育成会長)のメンバー。衣装をそろえて一緒に踊ることもたびたび。先月、地域の福祉施設で行われた夏祭りでは、青年会と子ども会が合同でヨンシーを披露し、お年寄りたちに喜ばれていた。波平会長は「若い人や子どもたちの間にも地元の芸能を習いたいという気運が高まっている」と話し、継承への明るい兆しを見せた。