災害は忘れたころに来る/台風14号襲来から10年
「日頃から防災に関心を」
2003年9月に宮古島地方を襲った台風14号から11日で10年がたった。最大瞬間風速74・1㍍は県内観測史上4位、国内7位を記録した。死者1人、負傷者83人、家屋の全壊13棟、半壊48棟ほか、サトウキビなどの農作物や水産業へ甚大な被害を及ぼした。各地の道路には約880本の電柱が倒れ、交通はまひ状態に。停電は最長14日間に及び、市民生活に大きな影響が出た。防災関係者は「災害は忘れたころにやって来る。14号の教訓を生かして、常日頃から避難場所の確認など防災に関して高い関心を持つことが大事」と話す。9月に襲来する台風は大きいと言われ、過去には1959年の「宮古島台風・サラ」、66年の「第2宮古島台風・コラ」、68年の「第3宮古島台風・デラ」が猛威を振るっている。
□電線地中化が加速
台風14号を教訓に、主要道路では電線地中化が加速した。
電線地中化は、台風被害の軽減・都市災害の防止などを目的に、マクラム通りや平良城辺線、下里東通りなどで実施されている。
アルミサッシが普及し雨戸のない外観重視の建物が増えたことで、窓ガラスが割れるなどの被害が続出したことも14号の特徴だ。
近年は、雨戸を設置する家も多くなり、また強風による飛散物を防ぐため、ガラスの外側を網で防御する家や店舗も目立つようになった。
□避難場所の確認大事
気象庁は8月30日午前0時から、数十年に1度の大雨や暴風、津波などが予想され、広い範囲で大きな被害が出る恐れがある場合に発表する「特別警報」の運用を開始した。
2011年9月に紀伊半島で大きな被害が出た台風12号や昨年7月の九州北部豪雨を教訓として、重大な災害が迫っていることを知らせ、直ちに避難するか屋内で身を守る行動を取るよう呼び掛ける。
気象庁は「特別警報が出たときは非常事態なので、直ちに命を守る行動を取っていただきたい」と話す。日ごろから浸水や土砂災害の危険がある場所を把握し、避難場所・ルートを確認しておくことが大事だ。
市防災危機管理統括の砂川享一総務部参事は「災害は忘れてころにやって来る。『備えあれば憂いなし』。日頃から防災対策として災害の発生を常に想定することが必要だ。災害時の被害を最小化する『減災』の考えに基づき、被害ができるだけ少なくなるような取り組みの強化を図りたい」と話した。