自衛隊 総合訓練を開始/地対艦ミサイル使用
陸空連携し分屯基地で
自衛隊の陸海空統合演習のため、上野野原の航空自衛隊宮古島分屯基地に配置した陸上自衛隊地対艦ミサイルを使用しての対艦戦闘総合訓練が9日、始まった。8日までに機能別訓練(準備訓練)を終えた同訓練はこの日、陸自と空自が連携しての協同基地警備訓練などを実施した。
陸自地対艦ミサイルの周辺には警備のためのテントなどを張り巡らせて連携訓練を実施。地対艦ミサイル(模擬弾)を搭載した装填機車両と発射機車両は同基地内のヘリポート近くに擬装網を掛けて待機させた。
防衛省統合幕僚監部によれば、地対艦ミサイルは標的となる艦船の位置をレーダーで探知した際、瞬時に基地内を移動して稼働準備を行い、装填、発射のための操作を開始する。
統合演習では地対艦ミサイルが攻撃目標に入るよう計測などを行い、海自艦船などを模擬艦船として航行させるほか、護衛艦を洋上展開させ、レーダーで標的策定をした上で、各護衛艦による情報をリンクさせながら射撃準備から発射に至るまでのすべての調整訓練などを行う。レーダーで照準を合わせて目標物として定め、発射前段階までの訓練を行う計画だ。
その際、ミサイル発射準備のための迅速性などが求められるため、同訓練では各部隊の稼働力はもとより、陸海空の迅速で緻密な連携が必要となる。
宮古島に配置した地対艦ミサイルは今回の訓練では実弾を使用した発射訓練は行わない。ただ、標的目標物を正確に射程内に定めるための発射機の方向や角度計測などを行う予定だ。
同統合演習は2008年以降、宮古島と沖縄本島間の公海を中国艦船が頻繁に通過している現状を受けて中国側をけん制する狙いがあるとの見方が強いが、防衛省は「国を特定しての訓練ではない」と否定。南西諸島方面の防衛力強化を目指した演習だとしている。宮古島での訓練は18日まで続けられ、19日夕方には隊員、機材ともに撤収する予定だ。