宿泊費、最大5割引き/離島へき地がん患者
県と宿泊組合が調印/来年4月から家族も対象
【那覇支社】「離島へき地のがん患者等の宿泊支援に関する協定」の調印式が11日、県庁で行われ、崎山八郎福祉保健部長と宮里八郎県ホテル旅館生活衛生同業組合理事長が締結した。同協定は、放射線療法など、高度な治療が必要な離島の患者とその家族らの宿泊費の軽減を図るもので、来年4月から適用される。同組合によると、宿泊費(1泊基本料金)は約3~5割引きになる。
県は12年8月、「がん対策推進条例」を制定。同年4月から「県離島住民等コスト負担軽減事業」を実施し、離島からの航空機や船舶の交通費の住民負担の軽減を図っている。
13年4月策定の「県がん対策推進計画(第2次)」の取り組みとして、離島へき地のがん医療の確保と、がん患者などへの支援を掲げているが治療で滞在する宿泊費の負担が課題となっていた。
調印式で崎山部長は「協定の締結により、患者の負担が軽減される」、宮里理事長は「ホテルにより料金に多少のばらつきは出るが、県と十分話し合って患者や家族が利用しやすい料金を設定したい」とそれぞれ話した。
宮里理事長によると組合加盟約300社のうち、空港や港、医療機関の周辺立地の条件に合う宿泊施設は約60件以上あるという。
県は宮古、八重山の両県立病院をがん診療連携支援病院に位置付けて、がん患者の治療や相談、情報交換などを行っている。
地域で受診できない放射線療法などの高度な治療が必要ながん診療拠点病院として、沖縄本島の県立の▽南部医療センター▽中部病院と那覇市立病院▽沖縄赤十字病院▽南部徳洲会病院▽琉大附属病院▽国立沖縄病院-など7医療機関を指定している。
沖縄本島で放射線治療が必要な離島のがん患者は、同拠点病院で受診後に、登録標(カード)を受け取り、宿泊契約した組合加盟施設に、同拠点病院は登録記録簿を県に、それぞれ提出する。