「方言使わない」9割/宮古の児童生徒
衰退の実態浮き彫り/「広める会」がアンケート調査
「方言を使わない」と「ときどき使う(ほとんど使わない)」を合わせた児童生徒が、9割を超えることが「宮古方言を広める会」(佐渡山力会長)のアンケート調査結果で分かった。ほとんどの子どもは、方言の聞き分けもできていない。佐渡山会長は「方言衰退の実態は予想通りだった」と話した。
アンケート調査は宮古の児童生徒を対象に11月に行い、795人(小学生402人、中学生393人)から回答があった。
方言を広める会は、有志らでつくるボランティアグループ。先祖から引き継いだ方言を保持・継承し広める目的で2010年頃発足した。
佐渡山会長は、方言が復帰後急速に衰退した理由に①テレビの普及②核家族化③若い父母らが方言を話せない-などを挙げた。
普及には「何より聞かすことが重要。自分も近所のおばさんたちのお茶のみ話を聞いて覚えた」と強調する。
方言を聞いても「全く分からない」は小学生38%、中学生48%。「少し分かるは小学生60%、中学生50%で両回答を合わせ9割以上が、方言を理解できていない。「よく分かる(2%)」は、3世代家族で育っているとみる。
一方「方言をなくさないようにしたいと思うか」の問いには、約半分が「思う」と答えた。方言を話せなくても継承の大切さは認識しているようだ。「方言を習いたいと思うか」の問いには、小学生の40%、中学生の30%が「思う」と答え、方言学習への関心の高さをうかがわせた。
標準語の方言表記の質問項目をみると「ありがとう=タンディガータンディ、スディガフウ」の正答率が小中学とも最も高く5割。「猫=マユ」や「友達=ドゥス」も中学生では10%を超えまずまずの認知度。「朝=ストゥムティ」や「歌=アーグ」は1~2%と低く、身近な方言でもほとんど分かっていない。
方言の共通語表記では「ボーチラ=やんちゃ」が小学生21%、中学生33%と割合が高い。「アララガマ=何くそ」は小学10%、中学15%。「がんずう=健康」は小学14%、中学15%。大人がひんぱんに使い、マスコミでよく耳にする言葉でも浸透していない。
佐渡山会長は「方言を使わせる対策では行政がテキストを作成し、それによる指導が最も実効性があるのでは」と提言している。
沖縄(宮古)における方言使用は、戦前には標準語励行令が発令され禁止となった。現在は衰退を受け逆に、絶滅の危機感をもって普及を叫ぶようになった。ユネスコは宮古方言を世界絶滅危惧言語に指定している。