「農家が誇り持てる形で」/TPP交渉
キビ生産実情を再確認/江藤農水副大臣が来島
江藤拓農林水産副大臣が来島し、4日は宮古のサトウキビ農家などの実情把握と現在交渉が進められている環太平洋連携協定(TPP)での「砂糖」の重要品目の扱いについて、宮古での視察とヒアリングなどを行った。
江藤副相は「農家がサトウキビを作ることに喜びと誇りを感じ、島を守っているのだという文化があることを忘れずに国は交渉に臨むべきだ」と述べ、TPP交渉に国は強い姿勢で臨んでいくことを強調した。
江藤副相は第2次安倍内閣発足時に農水副相に就任しTPPを担当した。来月予定する内閣改造で任を解かれる予定で、今回の宮古視察はサトウキビを中心に島の農業生産の実態を再確認するために訪れたという。
江藤副相は4日、市平良庁舎を訪れ、下地敏彦市長と面談した。下地市長は「サトウキビは沖縄全体の経済を支えているということを忘れずにTPPの中でも重要品目として扱われるようお願いしたい」と述べた。このほか下地市長は、「独立行政法人種苗管理センターの宮古島市への移転」と「畜産担い手育成総合整備事業の要件緩和」の2項目を要請した。
市長との面談後、江藤副相は現在建設が進められている伊良部大橋を視察。県土建部職員から概要説明を受け、大橋開通後には宮古島から伊良部島へ、かんがい排水施設の農業用水が送水されることなどの説明を受けた。
江藤副相は沖縄製糖を視察し、職員から宮古のサトウキビ生産実態と製糖工場の概要を聴取。また、生産農家を訪れ、サトウキビ作りに関する農家事情を聞き取った。
本紙の取材に応じた江藤副相は、「島の基幹産業であるサトウキビや製糖工場を守ることは当然、国として果たすべき役割だ」と述べた。TPPの進ちょくについては、「担当なので守秘義務はあるが、サトウキビ農家の皆さんと会うときに、顔向けできないことだけはしたくない」と述べ、オバマ米大統領が来日した時の状況から、あまり進展がないことなどを明かした。
また、砂糖が重要品目から漏れた場合の国の特別措置について江藤副相は、「農家がお金さえもらえれば、売れもしない砂糖を作るのかというと私は、そうは思っていない」と述べ、「国はサトウキビが島を支えた歴史や文化があるのだということをも含め再認識し、強い姿勢で交渉にあたるべき」との見解を示した。
江藤副相は地下ダム施設の視察を行った後、同日夜の便で帰任した。