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政治・行政
2015年8月27日(木)9:07

ヘリから人手で散布へ/野ネズミ防除

市、安全面を強調/キビ農家 高齢化理由に難色も


ヘリを使い空から農薬を散布していた野そ防除事業。今年から農家が自分の畑にまくことになっている(写真提供・市農政課)

ヘリを使い空から農薬を散布していた野そ防除事業。今年から農家が自分の畑にまくことになっている(写真提供・市農政課)

 宮古島市はヘリコプターを使って実施していた野そ(野ネズミ)防除事業を取りやめ、今年からサトウキビ農家に散布させることに決めた。市はキビ畑に集中して散布されることを強調。安全面や予算面の観点で人手に頼る作業に協力を求めている、しかし、一部のキビ農家からは、人の入れない原野や山林などが除かれることから「野ネズミの被害が広がる可能性がある」と指摘。農家の高齢化も理由に挙げ「散布できない面積が多くなるのでは」と懸念している。

 同事業は、市の負担で実施し農家負担はゼロ。全てのキビ生産農家が対象で、散布を申請すると収穫ほ場面積に合わせた農薬が配布される。

 市は人力での散布について①安全面が確保される②予算が縮減できる③散布のばらつきがなくなる-などを挙げている。

 ヘリでの農薬散布は風向きなどの天候次第では、散布対象地ではない住宅地や草地、果樹園、道路などにも一部が落下していた。

 市は、子供たちの手に触れやすいことや、飼っている動物、家畜などが誤って食べてしまうことが懸念されるとして実施前は、市民への広報活動を強化。市民団体も低空飛行するヘリの危険性などの観点から手で散布するなど、安全な方法での実施を求めていた。

 また、散布する農薬代金(約1600万円)より、ヘリの使用代金(約1760万円)が高いこともあり、財政面を考慮した予算措置が求められていた。

 一方で、手で散布する農薬は農家自らが申請して実施されることから、高齢化が進展するキビ農家にあっては全ての対象者が申請するかは不透明だ。

 キビ農家の一人は「野ネズミの駆除は一斉防除が有効で、農家個人による駆除は作業量も増え体力的にも限界がある」と指摘。人の手の散布が及ばない原野や山林なども網羅しての一斉散布が、異常発生を防ぐには重要だとした。

 宮古島市の中でも野ネズミの被害が大きい池間島では、2012年度までは年1回人海戦術で行われていたが、13年度からはヘリを加えた地上と空からの防除を実施。14年度には野ネズミを捕獲するわなを島の全域35カ所に設置するなど、被害の軽減に努めている。

 市農政課では、農薬を申請する農家が少なければ、再度申し込みを呼び掛ける方針。「自分の畑は自分で守るという意識で取り組んでほしい」と話している。


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