自然、文化の継承大切/市民文化祭・戦後70年フォーラム
次世代の宮古考える/基調報告や討論者提言
「戦後70年と宮古~次世代の宮古を考える~」と題したフォーラムが17日、市働く女性の家で開かれた。戦後の歩みの中で、何を次世代に残していくかを考えるきっかけにしようと、宮古島市文化協会が主催。基調報告やそれぞれの立場からの意見や提言を通して、将来を担う子供たちに、宮古の自然や文化、平和を引き継いでいくことの大切さを共通認識とした。
フォーラムは第10回市民総合文化祭・郷土史部門の一環。宮古郷土史研究会の仲宗根將二さんが基調報告を、同会の久貝弥嗣さん、下地和宏さん、「てぃだぬふぁ島の子の平和な未来をつくる会」の山里智子さんの3人が討論者報告を行った。
このうち、「戦後70年、自然と文化を考える」と題し報告した下地さんは、1980~90年代にかけて自然破壊につながる計画を阻止した市民運動は▽与那覇湾淡水湖計画▽大野山林縦断道路整備▽ラ・ピサラ(ゴルフ場計画)開発-の三つだと指摘。「反対してきた人たちは、先祖から与えられた自然の恵みを私たちの手でつぶすわけにはいかない。子々孫々にこれを伝える義務があるというのが、どちらにも共通している精神だった」と述べた。
その上で、下地さんは現在に目を移し、市民たちの手で継続実施されている「クイチャーフェスティバル」「なりやまあやぐまつり」「伊良部トーガニまつり」などを紹介し、「宮古にはさらに新しい文化運動が起きている」と報告。「戦後は80年、90年と続く。今から育つであろう宮古島の子供たちに引き継いでいければ」と語った。
「宮古の子供たちの未来を守るために今考えること」との主題で発表した山里さんは、宮古島への陸上自衛隊配備計画について、母親の立場から意見を述べた。
「政治への無関心は平和への無関心である」と述べた山里さんは、親や祖父母たちに、「コミュニケーションの一環として、子供たちと一緒に宮古島で、日本で何が起こっているかを話し合ってほしい」と提言した。
「戦争遺跡調査を通して学んだこと」と題し発表した久貝さんは、発掘調査や聞き取り調査など自身の体験を通して、今後、戦争遺跡を平和学習へどう活用していくかが課題だとした。
基調報告を行った仲宗根さんは、戦後、宮古の若い人たちが新聞製作や文芸活動、教育環境の整備など新しい宮古の創造に向けて努力を傾注したことなどを報告した。
フォーラムの冒頭、あいさつした市文化協会の大城裕子会長は「戦後の歩みの中で、何を次世代に残していけば良いのか。見直さなければならないこと、再生しなければならないことがたくさんある。そういうことを参加者とともに考えていきたい」と開催の意義を強調した。