自衛隊配備で情報共有/次世代会議
宮古島市への陸上自衛隊・ミサイル部隊配備について考える市民集会「島の未来をつくる次世代会議」(主催・同会議実行委)が2月28日、JAおきなわ宮古地区本部大ホールで行われた。4人のパネリストが自衛隊配備に「反対」「賛成」の立場で臨み、将来にわたりどのような利点や欠点があるのかを述べ合い情報を共有した。地域活性化については意見が分かれたが、平和の構築や自然環境の保全については、それぞれ手法は違ったものの考え方は一致した。
自衛隊配備については、計画が発表されてから「反対派」「賛成派」に分かれて集会や説明会などが行われていたが、今回のように、双方が同じ場所で意見を述べ合うのは初めて。市民約130人(主催者発表)が参加した。
自衛隊反対の立場から猪澤也寸志氏(エコガイドカフェ)と楚南有香子氏(てぃだぬふぁ・島の子の平和な未来をつくる会)、賛成の立場から中尾忠筰氏(宮古島自衛隊協力会青年部長)と濱元雅浩氏(市議会議員)がパネリストとなり①地域活性化②平和の構築③自然環境の保全-で意見を交わした。
地域活性化について、猪澤氏は「民泊をしたいという人や宮古の文化を味わいたいという人たちが多い」と述べ、宮古に移住する人や観光客が今後増えると予測。近年、観光産業が脚光を浴びていることも紹介した上で、「ミサイルを島に配備すれば大きなマイナスイメージになる」と語った。
楚南氏は「宮古島に今あることを生かすことが一番大事」と述べ、島の魅力を知ることや子供たちに島の歴史・文化を教えることが優先だと主張した。「地域のために役立つ子供たちが、島外で力をつけて帰って来られる環境づくりが必要。基地ができたら、誰も帰って来なくなる」と懸念。2氏ともに、自衛隊配備は観光面や人材育成に悪影響を与える可能性が高いとし、地域活性化に結び付かないとした。
一方、中尾氏は、宮古への配備数が800人規模といわれていることを強調し「インフラ面が整備され、間接的な消費が生まれる」と述べた。「数の力は大きい」「多くの隊員は20代の男性」などと述べ「人が入ってくると、ビジネスなど何らかの新しいきっかけが生まれる」と語った。
また濱元氏は、市の自主財源比率は17%で、80%以上は国や県の交付金に頼っている財政状況を説明した。「交付金は人口の増減に左右される。まずはあらゆる手段を使って人口減少に歯止めをかけることが必要だ」と主張。自衛隊配備は人口増や財政の好転につながることから、産業全体の基盤や地域経済に寄与するとした。
主催者の一人でパネリストの中尾氏は、会議の終了後「双方が賛否を主張するのではなく、それぞれの意見を聞こうとする場をつくりたかった。自衛隊配備計画は、島の将来に影響を与える。今後も開催していきたい」と話した。