観光で離島振興を/参院選当選の伊波氏
農水産業支援も/一夜明け国政へ意欲
【那覇支社】第24回参院選沖縄選挙区(改選1)で初当選を果たした伊波洋一氏(64)は一夜明けた11日、宮古毎日新聞社の取材に応じた。伊波氏は「県民の思いをしっかりと受け止め、国政の場で頑張っていきたい」と公約の実現に決意を示した。離島振興については、海などの既存資源を大切にした観光産業の振興や、農水産業への助成などの支援策を挙げ「離島のハンディを、県全体で支えていく仕組みが必要」と述べた。宮古島への陸上自衛隊配備計画については、改めて反対の立場を強調した。
伊波氏は、自民現職で沖縄担当相の島尻安伊子氏(51)に約10万6000票の大差で勝利した。
インタビューで伊波氏は「安倍政権が県民無視の政策を取り続けている。特に辺野古新基地。それに対する怒りの表れだ」と勝因を分析。併せて「翁長知事が主導する自らの未来を切り開こうとする思い、それに対する共感だと思う」と語った。
宮古の振興策については▽観光▽サトウキビ▽畜産-を挙げ、特に観光については「LCC(低価格の運賃を実現している格安航空会社)の導入や離島運賃の低減に向けて取り組んでいく」と意欲を見せた。
公約で訴えた環太平洋連携協定(TPP)に改めて反対していくことを示し「農水産業の振興には、キビ産業や畜産業を育成する仕組みづくりや支援策に取り組んでいくことが大切だ」と話した。
待機児童や子供の貧困問題の解決には、保護者の働き口の確保のほか、認可保育園の新設、増設で対応していくとした。
「『の春(高校進学のため島を離れなければならない環境)』に見られるように、離島が持っているハンディを県全体で支えていく仕組みが必要」と力説。「給付型奨学金の創設で、離島の子供たちの進学を支えていけるよう取り組んでいきたい」と語った。
陸自配備計画には、改めて反対の立場を示し「計画では命の水である水源地の近くだったが、場所の問題だけではない」と指摘。「宮古、石垣への自衛隊配備は、奄美も含めて全体計画となっている。宮古や石垣を守るためではなく、米軍の対中国戦略に自衛隊を巻き込む戦略だ」と述べた。
その上で「それぞれの島々での戦闘を前提に有事部隊が配置されている。住民は自衛隊が来ると思っているかも知れないが、そこでの戦争を前提に準備されている」と警鐘を鳴らした。
「そういったことは認めるべきではない。戦争ではなく、平和的な外交での解決が沖縄にとってはとても大切だと思う」と語った。
中国による領海侵犯が相次いでいる尖閣諸島問題には「武力では解決しない」と言い、互いの立場を尊重し合いながら話し合いでの解決を訴えた。