大福牧場・「絶対に売らない」・陸自配備計画
地権者の下地氏が見解
防衛省が進める宮古島市への陸上自衛隊配備計画で、駐屯地建設の候補地となっている大福牧場周辺の土地について、同牧場を所有する下地米蔵氏は2日、本紙の取材に対して「あの牧場は創業者である父の米一が一生懸命に牧場経営をするために活用した土地。新聞で防衛省がまだ『あきらめていない』との記事が出ているが、地権者として絶対にあの場所は売らない」と明言した。
大福牧場周辺は水道水源の白川田水源流域となっていることから、同地での施設建設について、下地敏彦市長は6月定例会で地下水への影響などを勘案して「認めない」との見解を示している。
しかし、この見解を受けても防衛省側は「断念する」とは明言しなかった。そうした中、先月19日の赤嶺政賢衆院議員とのやり取りで同省は「あきらめていない」との見解を示していたことが分かり、今月1日付の紙面で報道された。
この報道を受けて下地氏は「あの場所で施設を建設することはもう無くなったことだと思っていたのでびっくりした」と驚いた様子で話した。
さらに「大福牧場については地権者として、売却を求められても売るつもりは全くない。絶対に売らないので、不安を持つ市民には安心してほしい」と話した。
同地での施設建設を「認めない」とした下地市長は、その理由について議会では「市民および多くの議員の水道水源である地下水汚染への懸念等が表明されたことなどを真摯に受け止め、市民の命の源である水道保全を図ることは市政を担う市長の責務。大福牧場周辺での大型工事が実施された場合、水道水源への影響はないとは言い切れないと判断した」と述べている。
しかし、陸自配備反対派の市民団体には「情報を開示しようとしない市長と防衛省とで裏ではいろいろやり取りがあるようにも感じる。これは地下水問題を市長選の争点から外すシナリオ。もし、下地市長が来年の選挙で再選すれば防衛省が『あきらめていない』としている以上、『認めない』との方針もいずれいろいろな理由を付けて撤回する可能性が十分にある」との声もある。