「八月踊り」始まる/多良間村
島は祭り一色に
【多良間】国指定の重要無形民俗文化財、多良間島の「八月踊り」が8日、開幕した。正日(ショウニツ)と呼ばれる同日は、字仲筋の住民たちが土原御願で鮮やかな琉装などの衣裳に身を包み、組踊りや狂言、端踊りなどを演じた。9日は字塩川の正日がピトゥマタ御願で行われる。舞台では歴史と伝統を感じさせる衣装を身に着けた演者たちが、組踊りや古典芸能などを披露する。10日は「別れ」と称し両字で行われる。この3日間、伝統と歴史が彩る「一大絵巻」が繰り広げられ、島は祭り一色に染まる。
字仲筋の八月踊り正日は、8日午前10時すぎから始まった。出演者全員が列を作り、観客に顔見せする「総引き」で幕開け。若衆踊りや女踊りなどの古典舞踊「端踊り」のほか、狂言など多彩な演目で構成されている。約2時間に及ぶ組踊「忠臣仲宗根豊見親組」は最後まで観衆を引き付けた。
今回3回目の出演の伊良皆星亜羅さん(多良間中2年)は「女踊りに出ている。毎回緊張するけれど、とても楽しい。初めての時は『できるかな』と思ったけれど一生懸命稽古して、これまで3回ともうまくできたと思う」と笑顔だった。
字塩川の正日は獅子舞で座を清めた後、男性が大笑いをしながら威勢良く踊る「よーんしー」、勇壮に踊る「棒踊り」、長寿の大主が子や孫を連れ、幸福と豊年を感謝する「長寿の大主」や若衆踊り、組踊り「多田名組」などが舞台を彩るなど、多彩な演目が披露される。
八月踊り 旧暦の8月8~10日に、毎年開催される。起源は定かではない。古老の伝承によると、1637年から宮古、八重山で課されるようになった人頭税を納め終わった「皆納祝い」として、翌年の豊年を願い、神前で奉納踊りを行うようになったとされている。「多良間島の豊年祭」という名称で1976年5月に国の重要無形民俗文化財に指定された。