知事と首相、平和の決意新た/沖縄全戦没者追悼式
【那覇支社】戦後72年目の「慰霊の日」を迎えた23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園で県主催の沖縄全戦没者追悼式が行われた。式典には安倍晋三首相や翁長雄志知事、遺族ら約4900人が出席し、戦争の犠牲者を慰霊するとともに平和への決意を新たにした。一方、平和宣言の中で翁長知事が政府を批判するなど、基地負担の軽減を巡る県と政府の主張に隔たりがあることが改めて浮き彫りになった。
翁長知事は平和宣言で、昨年うるま市で発生した米軍属による女性殺害事件や、オスプレイが名護市沖に不時着・大破したこと、米軍が嘉手納飛行場でパラシュート降下訓練を実施したことなどを挙げ、「基地負担の軽減とは逆行している」と述べた。
また、政府が進める普天間飛行場の辺野古移設については、「民意を顧みず工事を強行している現状は容認できない」と批判し、「辺野古に新たな基地を造らせないため不退転の決意で取り組む」と語った。
安倍首相は、沖縄に米軍基地が集中する現状について「到底是認できるものではない。負担軽減のため、一つ一つ確実に結果を出していく」と述べた。そして、昨年12月に北部訓練場の過半が返還されたことを具体的な成果として示した上で、「これからも『できることは全て行う』。沖縄の基地負担軽減に全力を尽くす」と表明した。