残そう琉球犬/城辺で繁殖、個体管理
日本で最も古い犬種ともいわれる沖縄原産の琉球犬。県の天然記念物に指定されて、希少種でありながら最近は保存に向けた取り組みも思うような活動が展開されていなかった。その琉球犬を城辺で動物保護活動を展開しているNPO法人の「ラヴィーダ」(呉屋順子理事長)が繁殖と保存活動を展開している。呉屋理事長は「現在は琉球犬の認知度がまだまだ低い。その存在と魅力を広げれば保存活動がもっと充実すると思う」と話した。
琉球犬の先祖は縄文犬と言われ、ほかの日本犬とは少し異なる特徴がある。
その一つが「爪」だ。他の犬種に比べ、四肢(両手、両足)の爪が6本と多い。
さらに、通常は前脚にある「狼爪」が後ろ足にあり、これについては、オオカミや縄文犬だけにある特徴とされているが最近では、後ろ足に狼爪を持つ琉球犬が少なくなっているようだ。
もう一つの特徴として、舌の模様がある。その舌には、舌斑と呼ばれる舌に黒い模様があり、この舌斑のある犬種は、古い犬の証とも言われている。
そんな琉球犬だが、1990年に沖縄本島で保存会が設立されて活動が展開されるも、ここ数年は活動も休眠状態だという。
呉屋さんが琉球犬の保護を始めたのは、2010年に城辺に捨てられていた琉球犬の子犬を発見したことがきっかけ。
そのうち1匹だけが生き残り、その犬と沖縄本島から譲り受けた数匹の琉球犬と交配させて個体管理を行ってきた。
ラヴィーダでは、昨年1年だけでも15匹が生まれ、近親交配を避けるための個体データを管理しながら、より琉球犬の特徴を残した個体の繁殖を行っている。
繁殖について、呉屋理事長は「狼爪と舌斑の両方を兼ね備えた個体が生まれる確率は全体の3割程度。できるだけ安定させていきたい」と話す。
琉球犬には虎毛や赤毛があり、昔は猪猟や鳥猟の猟犬としても活躍していた。
呉屋理事長は「琉球犬は愛玩犬とは違う。飼い主にはとても忠実だが、野生の部分が残っているのを感じるし、それも魅力の一つ」と話した。
繁殖した琉球犬は、全国からも飼いたいとの要望があり、昨年は岡山県に2頭譲渡したほか、現在は愛知県からも問い合わせがあるという。
宮古で琉球犬を飼いたい場合については「私たちの活動に賛同してくれて飼える環境と基準を満たしていれば提供できる。そうした人たちの協力を得ることができれば、さらに活動が広がると思う」と話した。