バイオエタ事業化 今年度で実証事業終了
施設更新費多額で困難/市議会一般質問
環境省のE3事業廃止響く
宮古島市が2012年度から取り組んできた、サトウキビの絞りかすから製造する宮古島産バイオエタノールの事業化を目指す実証事業が今年度で終了することが分かった。開会中の宮古島市議会3月定例会一般質問で企画政策部の友利克部長が粟国恒広氏の質問に対し答弁したもので、その理由について「老朽化の進んだ(製造)施設の更新費で多額の支出が見込まれ事業化は困難との結論に至った」と説明した。
市によるバイオエタノール事業化の実証事業は12年度、環境省の実証実験終了に伴い下地字上地に建設されていたバイオエタノール製造施設を市が無償譲渡を受け、ガソリンに3%のバイオエタノールを混合させるE3燃料を主軸とした事業化を目指しスタート。日本アルコール産業が施設の指定管理者となりエタノールの製造を行ってきた。
エタノール製造と合わせ、製造過程で発生する残渣液を使った農業用液肥の製造、販売にも取り組んできた。
14年度からは環境省の実証実験でE3製造を行っていたりゅうせきと、宮古給油所、日本アルコール産業の協力で、宮古島では初となるE3の一般販売も行われるようになった。
しかし、E3普及支援を行ってきた環境省が16年度にE3事業の廃止を決定。さらにバイオエタノールを混合させるガソリンの精製、販売を行ってきた南西石油が同年に同事業から撤退したことから、E3製造販売事業も終了となった。
E3事業に代わって17年度からはバイオエタノールを学校給食調理場のボイラー燃料として活用する実証事業に着手していた。
ただバイオエタノール実用化実証事業については、これまでも市議会で採算性を疑問視する意見が挙がっていた。
一般質問で粟国氏から同事業の今後について質問を受けた友利部長は、これまでバイオエタノールを給食調理場のボイラー燃料として供給すると共に液肥を製造、販売することで収支の改善を目指してきたことを説明。その上で「しかしながら老朽化が進んだ施設の更新費などで多額の支出が見込まれることから、事業化は非常に困難との結論に至り、今年度(3月末)を持って事業を終了することとしている」と答えた。
マスコミの取材に対し友利部長は、製造施設の今後については新年度で検討する考えを示した。