H2Aロケット片が漂着/三菱重工
伊良部漁協に無償譲渡/宇宙空間飛んだ実物展示へ
上野博愛漁港に漂着し、回収されたH2Aロケットの破片が25日、同ロケットを製造し、打ち上げを行った三菱重工から伊良部漁協に無償で譲り渡された。破片は、ロケットに搭載される人工衛星を摩擦熱などから守る「衛星フェアリング」と呼ばれる物で、同漁協では「子供たちがロケットや宇宙に興味を持ってもらえれば」と期待している。破片は台座などで固定し、佐良浜漁港内の宮古島海業支援施設に展示・公開される。
破片は6月20日に漂着物として県が回収。その後、鹿児島・種子島宇宙センターから打ち上げられたロケットの一部であることが判明した。
伊良部漁協は「子供たちに夢を与えたい」と活用を申し出。これに三菱重工が快く応じた。漂着した部品の無償譲渡は、これまでに全国で2件ほどあるという。
譲渡式が宮古島海業支援施設で行われ、三菱重工と伊良部漁協が覚書を交わした。
三菱重工宇宙事業部の中野克二氏は、破片は高度100㌔を超えた宇宙空間に出た実物であることを強調。「見て、触っていただきロケットや宇宙について身近に感じて興味を持ってくれればうれしい」と語った。
伊良部漁協の漢那一浩組合長は、無償で提供してくれた三菱重工に感謝した上で「ロケットの破片を身近で見たりじかに触ったりして、『ロケットとはこういう物なんだ』と肌で感じてもらえれば」と話した。
同漁協ではロケットの破片を展示することで、同漁協に親しみを持ってもらえることや地域活性化につながることを期待している。
衛星フェアリングはロケットの最先端部で、全長は12㍍。宮古島に漂着した破片は、回収時で縦約3㍍、幅約2㍍、厚さ約4㌢の金属製。重量は約40㌔。
破片は、触ってもらうことができるようにと、周辺のギザギザを除去し加工した。
ロケットから分離し落下したフェアリングは、飛行機で探索し船で回収するが、捜索海域の天候や海流が悪かったりすると回収できずに海に沈んだり、海面を浮遊したりするという。