動植物検疫 下地島空港を指定
伝染病侵入、水際で防止/国際線就航で迅速措置
家畜伝染病予防法及び植物防疫法に基づいて検疫が実施される空港に下地島空港が指定された。3月29日付。同空港に国際線が就航することを踏まえ、市や県から要請を受けた国が異例の速さで指定した。今後は必要に応じて沖縄本島から派遣される防疫官が汚染物品の有無を調べてウイルスの侵入を水際でたたく。宮古島市における指定港化は平良港に次いで2件目。
家畜伝染病の口蹄疫やアフリカ豚コレラ等の伝染病は、周辺諸国で継続的に発生しているのが現状だ。
島に侵入すれば畜産業は大きなダメージを受けることになるが、人、モノの移動が急激に増加している宮古島では侵入リスクが極めて高い状況にあるため水際対策が急務だった。
こういった現状を踏まえて市が昨年11月、県に指定港化を要請。県も必要性を認めて今年1月に国への要請行動を展開していた。
国がこれに応えて下地島空港を指定した。県内空港では那覇、新石垣に次いで3件目の指定となった。
家畜伝染病予防法にかかる指定検疫物は▽動物、その死体▽骨肉卵皮毛類(畜産物)及びこれらの容器包装▽穀物のわら及び飼料用の乾草▽監視伝染病の病原体を広げるおそれがあるもの-などとなる。検疫業務には農水省動物検疫所沖縄支所の職員が当たる。
指定港化を受けて、県の長嶺豊農林水産部長や仲村敏畜産課長ら県及び国の関係者が19日午前、市役所平良庁舎を訪れ、下地敏彦市長や長濱政治副市長らに指定の経緯を報告した。
県側は「下地島空港ターミナルの開業を前に指定されたことが何より」と国の迅速な対応を挙げ、「宮古島市の畜産が盛んということなどもあって要請の声が国に届いた」と喜んだ。
動物検疫所沖縄支所の鈴木一弘支所長は「家畜伝染病の浸入を水際でしっかり防止したい」と話した。
報告に下地市長は「口蹄疫などは、水際で止めないと島に入ったら大変なことになる。今回、こうして国が対応してくれたことを心強く思う」と話した。
下地島空港は、3月30日に「みやこ下地島空港ターミナル」が開業したことで民間による利用が本格スタートした。同日にジェットスター・ジャパンの成田-下地島路線が就航。7月には香港エクスプレスの運航が始まる。市によると、韓国や台湾と結ぶ路線の開設も検討されており、海外からの人、モノの流れは一層増すものとみられる。