与那覇湾に大量赤土/大雨で広範囲に流出
市が調査、防止策検討へ/ラムサール条約登録
20日午前の大雨で、宮古島市下地の与那覇湾や川満漁港内に大量の土が流れ込み、それぞれ広い範囲で海面が赤く染まった。与那覇湾は2012年にラムサール条約に登録され、湾の利用計画では保全・再生がうたわれている。同日のうちに現場を確認した市は、沈砂池の新設やグリーンベルトの整備など赤土の流出を防ぐ手立てを検討する。
気象台によると、同日は城辺新城で最大102㍉の降水があった。観測地点がない下地地域でも強い雨が降ったとみられる。
この影響で崎田川の源流周辺のほ場や排水路は瞬く間に冠水した。浸水し切れなかった雨水が土地が低い下地の上地や川満集落に集まり、その多くが与那覇湾や川満漁港に流れ出た。
特に沖縄製糖宮古工場前にある崎田橋の下や川満のマングローブ林からは土砂を伴った濁った雨水が勢いよく海に流出していた。
この赤土で、与那覇湾は部分的に赤く染まった。範囲は数百㍍四方に及び、潮の流れを示すように海面には本来の海の色と赤く染められた部分にはっきりと境界ができていた。
与那覇湾はラムサール条約に登録されており、国際的にも重要な湿地だ。保全と再生が求められている貴重な資源で、毎年水質の調査が実施されている。
市議会でも度々取り上げられており、昨年3月の市議会一般質問で改善を求めた上地廣敏市議は「市として何らかの対策を取る必要がある」と指摘。同日も赤土の広がりを確認して強い危機感を募らせた。
現場を見た市農林水産部の松原清光部長は「広い範囲で赤土が流出しているのを確認した」と対策の必要性を認めた。その上で「引き続き沈砂池の新設や、グリーンベルト(畑の周辺に植物を植えて赤土の流出を防ぐこと)の整備などを検討したい」と述べた。
下地の住民によると、与那覇湾への赤土流出は大雨のたびに起きるといい、保全に向けて抜本的な対策が求められている。