伊良部大橋きょう開通5年
島の生活、農業、経済支える
伊良部大橋は31日で開通から5年を迎える。全長3540メートルで、無料で通行できる橋としては国内最長。橋の上から眺める「宮古ブルー」といわれる海は宮古観光の名所の一つになった。海の状況に左右されずに移動できる便利さから住民の生活が向上。救急医療の改善も図られた。みやこ下地島空港ターミナルが開業、ホテルの建設ラッシュで経済が潤っている。農業用パイプラインからの送水も始まり農業生産高の飛躍的な向上が期待される。「発展のスピードが速すぎる」と地元住民が戸惑うほど多方面に相乗効果を生み出している。
伊良部大橋は1974(昭和49)年の要請以来40年、本格的な工事着工から10年を掛けて2015年1月31日に開通した。総事業費は395億円。
開通で、これまで「離島」が抱えていた伊良部地区の不利性が解消された。
大橋は相乗効果を生み、開通直後には「人気急上昇離島ランキング」で伊良部島が1位になるなど、知名度を上げた。
トライアスロンや100キロワイドーマラソンの新しいコースに組み入れられ、スポーツ振興にも役立っている。
一方で、スポーツ大会のコースやイベント会場に利用されるたびに車両の進入が禁止され、市民生活や観光客の移動に影響が出る新たな課題も浮上した。
観光客の急増に伴う交通量の増加で交通事故の危険性も増した。将来に備えた集落内の道路環境整備が急務となっている。
開通前は地元住民のほとんどが島内で食料品を購入していたが、開通後は宮古本島に買い物に行く人が増え、売り上げが減少。地元売店の苦戦は続いている。
伊良部地域づくり協議会の比嘉臣雄さんは「島の発展は想像を絶する。今後もいろいろな面で発展していくと思うが、海などの自然と伊良部大橋、下地島空港の相互発展が望ましい」と期待を寄せる。
島の将来を担う子どもたちには「島の歴史や『島らしさ』を伝え、継続的な発展に結び付けたい」と話した。