稼働3割、100人が退職/宮古のタクシー業界
「いつまで持つか…」/コロナ禍 存続の危機直面
「タクシー業界は地域経済の縮図。いろいろな影響がすぐに現れる」と話すのは県ハイヤー・タクシー協会宮古支部の下地隆之支部長だ。新型コロナウイルスが島内で感染爆発となり、1月末にはタクシー乗務員4人も新規感染者として報道された。未曽有のウイルス災害に見舞われ、一気に押し寄せる業界存続の危機と厳しい現実に悲鳴を上げている。
1月31日の報道で、宮古地区の新規感染者13人のうち4人が「タクシー運転手」だったとの報道があった。
下地支部長は「ほかの業種と違い、なぜか私たちの業界は『運送業』ではなく、『タクシー運転手』と具体的になる。それだけの情報しかなくて、タクシー利用を躊躇(ちゅうちょ)するようになっても困る」と話す。
実際の感染の背景については「乗務中ではなく、ある会社の社内会議の中で感染者が出て、複数が濃厚接触者になってそこから増えてしまった。支部としても、しばらくはこうした会合を開かないようにと加盟社に連絡してある」と話した。
一方で「感染者が出たことで利用を控えることも問題だが、現状で市民、観光客に積極利用を呼び掛けにくい状況でもある」と頭を抱える。
下地支部長によると、昨年の同時期に比べてすでに加盟社のドライバー約100人が退職しており、昨年春の緊急事態宣言時は約5割の車両稼働だったが、現在はさらに落ち込んで3割程度の稼働となっているという。
「乗務員は高齢者も多く、感染を怖がってこれまでに約100人程度が退職した。同支部加盟社の185台のうち現在はその3割程度しか稼働していない。稼働車ですら燃料代も稼げない状況が続いている」と話した。
現在の業界の状況については「それぞれの会社は借金に借金を重ねて維持している状況。いつまで持つか分からない状況の持久戦になってきている」と説明した。
そのほか、下地支部長は、宮古の公共交通機関における利用率はタクシーが最も高いとし「行政を含めてそうした実態を含めて、支援がないと業界が生き残っていくことは厳しい状況になっていることを理解してほしい」と話した。