緊急事態宣言、28日まで継続を 県専門家会議
【那覇支社】新型コロナウイルスの県専門家会議が20日、県庁で開かれた。会議では、県独自の緊急事態宣言について、前倒しでの解除は行わず予定通り28日まで継続することが必要との認識で一致した。県は、同会議の意見を踏まえ、22日の対策本部会議で緊急事事態宣言の解除時期について議論する。
昨年11月末から新型コロナの新規感染者が増加したのを受け、県は12月から那覇市などで、1月12日からは宮古島市や石垣市でも飲食店などでの営業時間短縮を要請。なおも感染が拡大したため、1月19日に独自の緊急事態宣言を発出し、2月4日には期限を同28日まで延長していた。
同会議後に記者会見した県保健医療部の糸数公保健衛生統括監によると、「3月から4月にかけては歓送迎会などのイベントがあるため、必ず流行が起きる。宣言期間中に、どれだけ感染を抑えるかが重要だ」との意見が出され、宣言は予定通り28日までとの意見で一致したという。
県内の感染状況や医療体制については、新規感染者数の減少に下げ止まりが見られることや、感染者に占める若年層の割合が増加するなど流行初期に見られる現象があること、中等症以上の感染者数は昨年8月の第2波時と変わらないという認識が示されたという。
ただ、石垣市や久米島など、新たな感染が2週間以上にわたって確認されていない生活圏域では、宣言解除前でも制限を緩和することは可能との意見も出されたといい、会見に同席した県立中部病院の高山義浩医師は「(そのような地域では)例えば、時短要請を少し緩和していくことは可能ではないかという意見があった」と述べた。
ワクチン接種、変異株も議論
20日の会議では、県内で3月に予定されているコロナ診療に係る医療従事者(救急隊員、海上保安庁、自衛隊職員を含む)5万5000人に対するワクチン接種も議題となった。国から1回目として示されたワクチン数が1万3650人分にとどまるため、どの優先順位で接種を行うかも討議された。
糸数統括監は「やはり直接のコロナ診療に携わっている、コロナの病棟で働いている医療従事者の方が最も優先されるべきだろうということは、みんな一致していた意見だった」と述べた。
変異株については、県衛生環境研究所の国吉秀樹所長が「大規模なクラスターが出た場合、やっぱり、感染のスピードが速いときには早目に察知して、必要な(検査)件数をやる」と強調した。渡航者や基地関係者の感染のほか、大規模な感染、小児の集団感染などを想定しているという。
このほか、高山医師は「春の流行、第4波というのは十分起こりうると認識している。その規模をできるだけ小さくして、(第4波では)緊急事態宣言を発出することなく切り抜けていくことが大事な目標になる」とも述べた。