モズク養殖 地元株の高品質確認/市海業センター
太く長い枝が特徴/「来間株」で収穫量増見込む
来間島周辺で採取
これまで沖縄本島由来の培養株を使用していた宮古島のモズク養殖だが、市海業センターがこのほど実施した地元産モズク(来間島周辺で採取)を由来とする培養株を用いた養殖試験で、その高品質が確認され、養殖業者からも高評価を受けていることが分かった。研究を進めてきた市水産課の主任技師・島田剛さんは「来間株はこれまで主力としてきた沖縄本島由来のS株(代表的な培養株)に比べて枝が太くて長いのが特徴。さらに小枝が少ないので異物も混入しにくく品質もとても良かった」と話した。
同センターでは、2018年から地元由来の優良な培養株の安定供給のため、宮古島産の天然オキナワモズクの単離培養を試みてきた。
20年4月には来間島周辺に由来するモズクを久松の漁業者から提供され、同年10月からこの「来間株」でこれまで主力としてきたS株と品質を比較するために養殖してきた。
「来間株」で養殖したモズクは、S株よりも枝が長くて太く重量もあり、これまでよりも収穫量の増加が見込めるとしている。
さらに、協力した漁業者によると、「来間株」は波浪に対して枝が切れにくい傾向もあることから、養殖業者にとってもメリットは大きいという。
今回の「来間株」を用いた養殖試験は、大浦湾で実施。島田さんは「この来間株は地元由来の株なので、宮古の海域の環境にも適応していると考えられるので失敗しにくい株とも言える」と話した。
実際に、大浦湾で実施した養殖試験の結果でも、元々の「来間株」の特徴(太く長い枝で小枝が少ない)を有していたという。
「来間株」とS株のモズクの味について、島田さんは「太い枝の来間株の方がシャリシャリとした触感もあってとてもおいしかった。一方で、S株も培養にかかる期間が来間株よりも短いというメリットもあるので、今後もさまざまな株の性質の把握に務め、状況に応じて株それぞれの特徴を生かしてモズク養殖産業を盛り上げていきたい」と意気込んだ。
そのほか、同課では次年度に同センター内に研修施設を新たに整備予定で、同施設では漁業者自らがオキナワモズクの単離培養や株の保存などといった技術研修が受けられる予定となっている。