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社会・全般
地域で育てよう、子どもたちの感性
宮古島放課後子どもプラン
これまで子どもたちは、地域の大人たちに見守られ、伸び伸びと育ってきた。ところが近年、子どもを取り巻く環境の変化で安全・安心な居場所が少なくなった。このため、厚生労働省所管で「放課後児童健全育成事業」の実施に伴い県教育委員会は、2004年から3年間、文部科学省の委託で31市町村332教室で地域子ども教室を開設。07年から新たに「放課後子ども教室推進事業」を実施した。「放課後子どもプラン」はこれらの実績を踏まえ、より多くの子どもたちが、放課後や週末に安心して活動できる居場所を確保、次世代の健全育成にも役立てようというもの。
宮古島市での「放課後子どもプラン」の取り組みは、〇七年度から五校でスタートした。〇八年度は、市内の小学校十教室と学童クラブ七団体。去る八日には、全体の交流会が市中央公民館で行われ、独自の活動内容を披露した。交流会は、一堂に会すことで、お互いの連携を図りながら、地域で育てるネットワークづくりにも役立てようというもの。会場は、舞台発表やむかし遊び、ゲーム、民具づくりなど地域の特色を生かしたプランが展開され、子どもと大人がさまざまな体験を通して一つになった。
参加した教室は、平一小、池間小、狩俣小、西辺小、久松小、宮島小、北小、伊良部小、佐良浜小、福嶺小。学童クラブが、ちびっこらんど、ひばり学童、おやこぼし学園、ネバーランド、みなみ学童、なかよし学童、城辺学童クラブ。
方言劇に挑戦 きょう「教育の日」で発表会/宮島小教室
三十四回の子ども教室で、地域の方言や、宮古馬のこと、絵画、エイサーなどを学習した宮島小学校(伊計喜和子校長、二十四人)は、特に方言に力を入れ、発表会では方言劇「オオカミと七匹の子ヤギ」を演じることになった。指導にあたったのは、アルバラード京子さん。三人の男の子(一・三・五年生)をもつ母親だ。全校生徒総出演の劇。
アルバラードさんは「方言がだんだんと忘れられていくのを感じ、子どもたちと昨年四月から方言調査に取り組んだ。まず三班に分け、一班が植物、二班が鳥と虫、三班が生活といった具合に調査を進め、二学期には地域のお年寄りを学校に招き方言指導、三学期からけいこに入った。やればできると思った」と話し、体育館で劇の指導をしながらきょう十五日の発表会に向け力がこもる。
きょうの発表会は、午前九時から同体育館で行われる。ダンスや、「すまずぅ米探検隊」の総合学習の発表、合奏などがあり、最後に全学年で方言劇が行われる。
伊良部小教室
学校側と地域の皆さんの熱い協力が得られている。石けん作りや、マリンダイビング体験、宮古馬乗馬体験、囲碁大会、おやつ作り、熱気球体験、ミニサッカーなど、さまざまな子どもの好奇心をくすぐる活動が光る。英語が堪能な地域の人にも入ってもらい、ALTのジェシカさんも子どもたちに楽しく英語を指導、語学力の今後が楽しみ。
福嶺小教室
地元のお年寄りの参加が多く、「おじい、おばあ」ならではの活動が光る環境にある。先週は、たくさんのススキを刈り取ってきて高齢者からススキほうきの作り方を学ぶ。七又や保良の民話を聴いたり、民具づくりでソテツの葉の虫かご作りなど、母親も一緒になって貴重な体験をした。駐在所は卓球教室になり、居場所が豊富にある。
久松小教室
消防士のPTA会長が協力、ポンプ車も出動して、試乗や放水体験で消防士の仕事を理解することができた。この他、マグロ解体やススキほうき作り、空手教室、英会話教室と地域が熱心に取り組んでくれる。中でも、方言教室は子どもとお年寄りの関係を身近にするよい機会となった。
放課後子ども教室の利点と課題
放課後子ども教室コーディネーター・上松朋子(あげまつともこ)
<利点>
①地域の人と触れ合うことで「地域の子は地域で育てる」という基礎固めになっている。
②企画・活動・報告を学校と地域が一体になって行うことは、開かれた学校づくりに反映される。③子ども教室に参加することで、地域の大人同士の輪が広がっている。④さまざまな体験・交流をさせることで、コミュニケーション能力、キャリア教育の活用など、「生きる底力」をつけることに。⑤すべての教室で取りあげられている読み聞かせ活動は、本との出会いで創造力をたくましくする効果も。
<課題>
①活動する大人の中に安全管理員が必要。②学校側の関心の低さが気になる。学校・家庭・行政の連携を言葉だけでなく、実のあるものに。③家庭の利己主義化。わが子だけでなく、周りの環境にも目を向けて。④学習支援も教師と保護者の連携で、学力向上につながるのでは。⑤社会教育行政で取り組んでいることの意味を理解し、子どもを核にした大人社会の構築が望まれる。