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社会・全般
上野地域づくり協議会 ”心一つ ばんたがあたらす上野”
地域に根ざした活動を/博愛の里
市町村合併で希薄になった地域間の連帯を再び取り戻そうと「博愛の里・上野地域づくり協議会」(川田正一会長)が発足したのは昨年五月。約一年間でさまざまな企画に取り組んできた。特に消えつつある地域の方言にこだわり、地名支柱を設置、「美(か)ぎ庭(みなか)」とした美化コンクールを実施したりと、地域に根ざした活動を展開してきた。この間の事業を紹介する。
同協議会が設立するにあたって、コンセプトは「心一つ」(きぃむ ぴてぃつ)だった。美しい博愛の心を基調に地域住民参加による活動を促進し、地域住民相互の交流による協調性、地域コミュニティーづくりと活力ある博愛の里を目指そうというものだった。事務局を上野支所の地域振興班(根間正三郎班長)に置き、住民活動の手助けをすることになった。
活動は五つの部会を設け事業案を組み立てた。「総務地域安全部会」は、協議会の総括、地区の交通安全、防犯に関すること。「環境美化部会」は生活環境の美化と保全に関すること。「福祉部会」は、相互扶助による福祉社会の実現に関すること。「文化・スポーツ部会」は、イベントの振興と健康体力づくりの推進。「青少年育成部会」は、明るく活力ある青少年の健全育成に関することなど。
こうした計画を踏まえ、十一月には第一回博愛の里上野まつりが「心は一つ、ばんたがあたらす上野」をテーマに行われた。ゲートボール大会(福祉)、グラウンドゴルフ大会(総務地域安全)、ブーゲンビレア祭り・フリーマーケット(環境美化)、芸能大会(青少年育成)、のど自慢大会(文化・スポーツ)など盛況のうちに行われた。
<支柱は伝統の部落カラーで>
地域一円で「地域名支柱」設置が行われ、最小集落単位の方言地名を表示した。現在九つの行政区があり、計四十四本の支柱が設置された。支柱は、陸上競技大会の部落対抗リレーのハチマキやバトンに使われる伝統的な「部落カラー」で色分けした。上野=桃色、野原=紫色、新里=黄色、大嶺=青色、千代田=紺色、豊原=水色、宮国=赤色、高田=緑色、名嘉山=白色。
<「美ぎ庭」コンテスト>
地域の環境美化ムードを盛り上げようと行われた「美ぎ庭」コンテストは、十九軒が応募。審査の結果は次の通り。団体賞=上野部落婦人会、アイデア賞=宮国幸清、生け垣美化賞=小禄博昭、花いっぱい賞=垣花ヒデ子、博愛の里賞=洲鎌重信、努力賞=与那覇国夫・上地設子・砂川永太郎・宮国健次・上地良淳・新里盛繁・我如古三雄・新里喜美男・新里幸盛・小禄博信・来間邦三郎・砂川浩美・下里幸子。
「博愛の里上野を継承」会長 川田正一さん(67歳)
―発足のきっかけは。
行政の動きだけを待っていても仕方ないと思い昨年三月から民間で動き出した。四月に新しい区長が選出された段階で、九部落の区長と各団体の会長などを網羅して協議会委員の名簿を作成し五月には設立総会を開催して立ち上げた。地域振興班と私の自宅に事務所を置き、活動を開始した。
―最後の村長で、約四十年近く上野村の政治行政に関わってきた川田さんにしてみれば、何とか上野を活性化させたいという使命感があったのでは。
現役のころは過疎防止対策に若者定住と農業振興を目指した。ところが合併で、上野らしさが失われつつあることに危機感を覚えた。何とかしなくてはと思った。これからは、地域にこだわった企画を推し進めていきたい。
―今後、協議会の活動は。
上野は、歴史的にみても博愛、助け合いの精神が培われてきた。継承していくためには、農業を盛んにし、先人の残した文化を守り、若者が誇りをもって定住できる地域にしなくてはならない。来年度から考えていることは、表彰規程に沿って、子どもから大人まで地域のために頑張る人たちを表彰し激励していきたい。
「心(きぃむ)は一つをキーワードに」地域振興班 根間正三郎班長
事務局を預かる根間さんは出身者でもある。これまでの上野カラーを打ち出したいと、方言にこだわる。地名の支柱もそうした思いが根底にあった。「四十歳以下の人たちがほとんど方言を話せなくなっている。もちろん、地名も忘れかけている。支柱を見ることでお年寄りと若者たちとの会話が生まれる、そのことを期待している」と話す。
「美ぎ庭」コンテストもあえて方言にした。地域を花いっぱいにしたいと育苗施設も設け、祭りの中で住民に配布、支柱の土台づくりも職員が一丸となって設置にこぎ着けた。「博愛の里を意識し、先人の残した文化を守り育てながら地域を活性化させることに力を尽くしたい。今後、祭りも各部会が協力しあって、子どもから大人まで一日中楽しめるよう取り組んでいきたい」と思いは熱い。