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社会・全般
上地 真さん(42歳)県立宮古特別支援学校教諭 平良字西里
遊び心が仕事に、家庭に
「気が付いたらいつも一人で何か作っていた」と、ふくよかな笑顔が返ってくる。工事現場で宝物のように拾った木切れや粘土が遊び道具だった。最初から何かを作りたくて始めるんじゃなく、いじっているうちに形になる、その過程がおもしろくて止められなかった。こうした幼いころからの遊び心が今、仕事に、家庭に生かされている。
県立宮古特別支援学校では中学部15人の生徒をみる。教科のほかにも日常生活指導や生活単元学習、作業学習、自立活動などが主な学習内容。「一人ひとり障害の内容は違うが、できるだけ、みんなで一緒に活動したいというのが私の思い」と話し、作業も彼らが取り組めるように安全で使いやすい道具を作り、楽しませることをモットーにしている。
今、力を入れているのは、絞り染めのコースターと牛乳パックを使用した紙すきのはがきや名刺。特に絞り染めは、生徒たちが無理なく作れるようにと木工で用具を準備する。この辺りで上地先生の器用さが発揮される。作品は2月に行われる展示即売会で販売される。
家庭では、「あとりえめ」というホームページをつくり、家族4人の持ち味を紹介する。「日々の暮らしの中で語りかけてくるいろんなものに目を向け、耳を傾け、心のおもむくままに、たゆたいながら今日は何を作ろうかな」で始まる。真さんはイラスト、妻のさつきさんは手芸の作品。おしゃべり大好きな長女の美月ちゃんと、やんちゃな長男の優舵くんの写真をふんだんに盛り込んだブログ。それだけで健全な家庭の有り様が伝わってくる。
ぴん座(ポストカードアート)の会員でもある真さんのイラストは、自然の生き物や植物をユニークにとらえた作品で、見るものに何かを語りかけるメッセージ性がある。パソコン操作もお手のもの、最後はパソコン処理で、そこは真さんの世界。ヤドカリ星人やワニの行列、謎の鳥、昆虫などが登場する。今年はこうした作品を、学生のころ作った絵本にしていくことも考えている。
作品は、子どもたちと過ごす中で生まれる。例えば、アパートに虫が飛び込んできて、みんなで観察しているうちに、虫と人との間に会話が生まれ、何を訴えているのだろうと想像するうちに、勝手に虫の気持ちになって語り出す。その場面を描いていく。その過程が楽しくて家族のきずなにもなっている。現在、作品は子育ての過程の中にある。将来、大きなアトリエで油絵も描きたいというのが夢。
上地 真(うえち まこと)
1967年8月31日生まれ。宮古高校卒業後、沖縄県立芸術大学で絵画(油絵)を学ぶ。県立島尻養護学校を皮切りに、宮古養護学校、大平養護学校に勤務。現在、県立宮古特別支援学校教諭。妻さつきさんとの間に1女1男。(佐渡山政子)