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社会・全般
カギは「重点港湾」認定/平良港湾整備(下)
課題克服の道筋見えず/市、2011年の事業化目指す
宮古物流最大の玄関口である平良港の現状と将来展望を不安視する声が各方面から出ている。その理由は二つ。大型化する貨物船舶に対応していないことと耐震バースが未整備で大規模地震災害時に対応していないことだ。この課題を克服するための整備計画を宮古島市は国に求めているが事業化のめどは立っていない。
■事 業
この二つの課題を克服するために市は2年前に港湾計画を改定し、平良港漲水地区再編事業として国に事業採択を求めているが、今年度は認められず新年度でも予算措置は厳しい状況だ。
市によると同事業の予算規模は約138億円で国庫補助が%、残りの5%が市の負担となる。
事業化されて着工となっても供用開始となるまでには約6年が必要で、一部供用開始にも約3年を要するとしている。
事業化のめどが立っていない今の平良港は住民生活に影響を与える二つの大きな課題と不安を抱えたままで、それを改善するための道筋すら示されていないのが現状だ。
■船舶大型化と欠航
構造的に大型貨物船に対応していない現在の平良港はこのままの状況だと今後、欠航や入港遅れが日常的に発生する恐れがある。
現在、平良港に大型貨物船を就航させているのは琉球海運のみ。その琉球海運が保有する船舶は5隻でそのうち2隻が1万㌧級で3隻は5000㌧級。
平良港に就航しているのは5000㌧級の3隻が中心だがこの3隻のうち1隻(みやらび)は今年夏までに退き、それに変わる船は1万㌧級となる。
さらに今後、3年ごとに5000㌧級はすべて1万㌧級の大型貨物船に切り替わる。
同海運宮古支店の塩川博司支店長は「私たちの船舶はメンテナンスや安全面からも年で新しい船に変えていく。流通コストの面からも今後、3年ごとに保有する5000㌧級はすべて1万㌧級になり、宮古に就航する船舶はすべて1万㌧級となる」と説明した。
大型化した船舶は風の影響を受けやすく、大型貨物船舶に対応していない現在の平良港では北風が強い冬場の接岸がこれまで以上に困難になり、欠航、入港遅れが増え、安定物流ができなくなることへの不安の声が各方面から高まっている。
■国の動き
全国にある港で「重要港湾」となっているのは平良港を含む126港。国はそのうち、約3分の1を「重点港湾」として絞り込み、今後の新規事業を認めるとしている。
7月ごろまでには「重点港湾」の絞り込みが行われ、平良港がその中に入らなければ2011年度の新規事業として、港湾整備が認められることはない。
市港湾課では「とにかく早急な整備が必要であり今後、県とも調整を図って平良港の早期整備の必要性を国にしっかりアピールしていきたい」と述べた。
■展 望
島の住民が安心して暮らすためには安定した生活物資輸送の確保が必要であり、平良港は「宮古物流最大の玄関口」として、これまでその重責を果たしてきた。
しかし、年々大型化する貨物船舶に港の構造が対応しておらず、将来の安定的な物流の確保に不安の声が強まっている。
さらに、耐震バース未整備という問題もある。未整備のまま大規模地震が発生し、港の機能が失われた場合は復興物資すら滞るようになり、被災した圏域住民の生活はさらに厳しい状況に追い込まれかねない。
安定的な物流は、住民生活だけでなく、多くの観光客を受け入れる地域としてもその確保は不可欠であり、圏域が将来展望を描く上でも絶対的な条件となっている。
最も重要なことは平良港が抱える大きな課題について、国を含めた関係機関は住民生活に影響が出ないように対応する必要があり、課題解決に向けた道筋を早急に示すことが求められている。