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社会・全般
国保税、収納率低迷
「税率下げても達成厳しい」~交付金削減は確実に~
2009年度宮古島市の国民健康保険料・税(国保税)の2010年3月末現在の一般分収納率は78.2%にとどまり、出納整理期間の5月31日までに、国からの調整交付金削減のペナルティーを受けない91%を達成することは絶望的となった。現状では市町村合併後、最低となった08年度の85.57%に届くかも微妙な状況。収納率が伸びず厳しい運営が続く国保事業に、市はどう取り組んでいくべきなのか。
■09年度の収納率 市は、税率の大幅アップにより収納率が市町村合併後の最低を記録した08年度の状況を踏まえ、09年度は税率の4%引き下げを実施、一般会計から約2億2000万円を繰り入れる予定となっている。しかし、経済不況の影響などから3月末の収納率は78.02%で、前年同月実績の79.01%を0・99ポイント下回る結果に。特に、07年度まで税率の低かった城辺、下地、上野で前年を下回っている。市国民健康保健課では5月末に向け、電話での督促や文書送付など、収納率アップに向け課を挙げて取り組む考えを示す。
■調整交付金削減ペナルティー 一般被保険者数が1万人以上5万人未満である宮古島市は、保険料徴収率が91%未満(08年度までは92%未満)だと、翌年度の調整交付金が5%削減されるペナルティーを受けることになる。08年度の現年分収納率は85.57%でペナルティー対象となったが、滞納繰越分の収納率が20%を超えると削減分を2%緩和するとした08年度単年の減免措置が適用され、結果的には3%の削減にとどまった。それでも医療分1989万7000円、後期支援分642万円、介護分290万2000円の計2921万9000円が削減された。09年度が91%に届かないのは確実で、08年度以上のカットが見込まれる。ただ、前年度の収納率を上回れば減額幅を緩和する減免措置があることから、市としては当面、5月末までに85.57%以上を目指すことになる。
■払えない人も 経済状況から保険税を支払いたくても払えない人がいることも事実。主な理由は、県外で働く家族がリストラされたことによる仕送りのストップや多重債務など。国民健康保健課の担当者は「多重債務者には、どこにどれだけ返済しているかを確認し、弁護士などと相談しながら指導するが、徴収は難しい」と厳しい実情があることも示すとともに、経済的に厳しい人も、分割で少しずつでも払っていく努力を呼び掛ける。
■市町村の限界 09年度は税率を4%引き下げたが、現状では収納率向上にはつながっていない。ただ、保険料の高さがネックになっていることは明らかで「さらなる引き下げ」を求める声もある。そのためには、一般会計からの繰り入れを増額させることが必要となるが、国保以外の保険に加入している人も多いことから、国保への多額の税金投入には慎重な議論が必要となる。国民健康保健課では収納率向上のため、電話催告や戸別訪問、財産差し押さえなど行える対策は実施しているが、滞納が大幅に解消されるような得策はない。市は第二次集中改革プランの中で国保税収納率を12年度までに91%とする目標を掲げたが、それに向けた具体的な施策は示されておらず、現段階では単に数字を並べただけの机上の空論と言わざるを得ない。同課でも「国庫負担率を上げてもらうなど、国へ制度改正を要望する必要もある」と市町村の努力だけでは取り組みに限界があるとの考えを示す。
■収納率向上を目指して 国保税の納付は国民の義務であり、市民は支払う努力を、市は徴収する努力をしなければならない。ただ、市町村合併の結果として、保険料が上がった地域の住民に対しては、ただ支払いを求めるだけでなく、「国保税は上がったが、合併して良かった」と実感できる行政サービスを市は提供すべきである。その一方で、国に対し負担率やペナルティーの見直しを強く要請するとともに、経済的弱者の救済策についても検討する必要がある。