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社会・全般
体験工芸村開村1周年
プログラム体験者1割未満/地元利用者拡大など課題
市熱帯植物園内の体験工芸村が5月日で開村1周年を迎えた。2009年度に八つある体験工房に訪れたのは延べ3万9480人だったが、そのうち実際にプログラムを体験したのは1割未満の3034人にとどまった。売り上げに直接結びつく体験者の伸びがなければ、市が「鳴り物入り」でオープンさせた観光施設も運営が厳しいものになる。今後、体験者を増やすためには、各工房や行政などによるさまざまな取り組みが求められる。
■PR不足 万華鏡▽貝細工▽陶芸▽チガヤ▽木工細工▽織物▽藍(あい)染め▽郷土料理―を体験できる工房が入居している。雨天時の観光客受け入れ施設などとして、開村前から高い期待が寄せられていた。しかし開村直後の昨年6月1カ月のプログラム体験者はわずか180人にとどまった。観光シーズンの7月には246人、8月は516人と個人観光客を中心に利用者が増加したが、9月には再び154人にまで落ち込んだ。工芸村村長の安井球真さんはPR不足を指摘する。「5月オープンのため、その年のガイドブックなどに全く掲載できず、宣伝が何もできなかった」と振り返る。
■救世主は修学旅行生 そんな工芸村に「救いの手」を差し伸べることになったのが本土からの修学旅行生だった。初の受け入れを行った10月の体験者は545人、12月には年内最多となる713人を記録した。市や観光協会などが本土の旅行代理店に対して「売り込み」を行ってきた成果の一つと言える。雨天のため予定していた屋外での体験メニューが開催できなくなり、急きょ工芸村で受け入れることになったケースもあった。今後も修学旅行生受け入れ強化が、工芸村利用者の増加につながると言える。
■素通り状態の観光バス 12月ごろからはパックツアーの観光バスも工芸村に立ち寄るようになり、来訪者は増加。少ない月は2000人台だった来訪者が12月は3802人、1月には5952人にまで増え、2月も4754人、3月も4567人を記録した。しかし体験者は1月が138人、2月は113人、3月は229人と低迷。パックツアーの観光バスの工芸村滞在時間が20~30分と体験を行うだけの十分な時間が確保されていなかったため、工房周辺を散策する程度で実質的には素通りする形となっていた。安井さんは「30分以内で手軽にできる体験メニューの開発も必要」との考えを示す。
■地元小中学生の獲得を 今年度からは島内で配布されているガイドブックなどに広告を掲載したこともあり体験者は増加傾向に。ゴールデンウイークや夏休みシーズン、年末年始は個人旅行客、10~12月は修学旅行生による利用が見込まれる。それ以外の時期の可能性の一つが地元小中学生。昨年度は市内の10校程度が体験を実施した。利用者の少ない平日に地元小中学生が学校単位、クラス単位で体験を行えば、相当数が期待できる。ただ学校予算で児童生徒の体験料をまかなえるかなど、行政との調整が必要となる面もある。
■体験者増加を目指して 修学旅行生のさらなる誘致活動や旅行会社への体験時間を確保したツアープランの開発要請など、市や関係機関が一体となって取り組めば、体験者の増加は十分に見込める。体験メニューのバリエーションを増やすなど、各工房のさらなる努力も求められる。土産品売り場の開設や施設内を案内する人員の配置を要望する声もある。観光客だけでなく、地元の利用者拡大も課題の一つ。工芸村を宮古島を代表する観光メニューの一つに成長させるためには島外へのPRとともに、各種イベントの開催などで地元客を呼び込むことも必要であろう。