学校統廃合に危機感/教育懇談会 福嶺学区「存続を望む」
宮古島市教育委員会は17日夜、福嶺小学校で教育懇談会を開いた。児童、生徒の減少に伴い学校の小規模化が一層進むものと予想されていることから、規模適正化へ地域の意見を聴取しようと開催した。委員会は「統廃合は白紙」と強調したが、出席した保護者や地域住民らからは「学校は地域とは切っても切れない心のよりどころ。存続を望む」と統廃合に強い危機感を示した。
下地敏彦市長は2010年度施政方針で、「少子化により児童・生徒の減少が著しい地域を対象に、子どもたちの将来を見据えた教育環境の在り方について、学校の統廃合も含め検討する」と発表。これを受け、小、中学校の規模適正化を図る検討委員会が4月に設置された。
同委員会では、中長期的視点に立った学校規模の適正化を確保しながら、学校教育の在り方などを検討し方針の策定と方針に沿ったスケジュールなどを策定する。このため、学校の果たす地域との役割などについて意見を聞き、市の方針に反映させる予定。
この日の懇談会は、大神、島尻に次ぎ3地区目。保良、吉野、新城、皆福、七又の各地区の自治会長や同窓会、PTAなどの代表、保護者らが出席した。
現在、福嶺小には31人、同中に28人の児童生徒が在籍している。
出席者からは「保護者の勤め先が市街地に集中しているため児童生徒数が減少している」と平良一極集中の社会・経済的背景を指摘。過疎化歯止め対策として①校区の見直し②スクールバスの導入-などを訴えた。
また、「地域は学校を中心に動いている。学校があるからこそ地域で生活している」と存続を要望。「行政は、人口流失をどう食い止めるか、この問題を地域と一緒に考えてほしい」とまずは過疎化対策に取り組むべきだと強調した。
「小規模校を学力向上のモデル校に」「親の出身地の学校に入学させたら助成を」「複式学級で教える教師の負担軽減を図るため応援教師の派遣を」などの意見や提言があった。
「学校は100%残してほしいと思っている。行政は地域の意見を聞き存続していくという方針を示すのか」「行政はもう統廃合を決めているのではないか」など、統廃合へ向けての懇談会ではと疑問を投げ掛ける場面もあった。
川上哲也教育長は「統廃合はまったく白紙の状況。皆さんの意見を聞き、議論しながら市としての考えをまとめていく」と理解を求めた。