「ヤッカ、ヤッカ」響く/多良間スツウプナカ 豊年、無病息災を祈願
【多良間】多良間村の伝統行事スツウプナカは、12日未明の「アカツキヌニガイ」を皮切りに、本番行事が行われた。各祭場ではニイーリ(神歌)を歌い「ヤッカ、ヤッカ(粟の穂が長く八重に実れ)」とはやし立てながら、豊年と無病息災を祈願。日中はツカサや村長、議員、校長ら村の有力者を招き海や山の幸の料理でもてなした。祭りはきょう13日、長老たちが厄払いを行い終了する。
祭場はナガシガー、フダヤー、パイジュニ、アレーキの4カ所。
パイジュニの中老座には11日深夜、神に供える刺身やミキ(神酒)、洗い米などがずらりと並んだ。
中老たちが品々を携えて、洞くつ状の古井戸に出向き、「アカツキヌニガイ」を行い、本番が始まった。
長老たちは、中老座から「パイジュニ(祭場)」に移り、ニイーリを歌った。青年たちが神酒を長老の角皿に注ぎ「ユノウレガ、ユノウレガ(豊年だよ、豊年だよ)」とお膳を揺らしながら祈りの歌。皿を掲げる中、全員が「ヤッカ、ヤッカ」と声を響かせた。
アカツキの行事は、12日午前0時すぎまで約2時間続いた。
今年、初参加した美里大地さん(20)は「先輩たちと心一つに頑張った。いい勉強になった。心の支えになる伝統行事は、引き継いでいかなければならない」と話した。
日中の行事は、ナガシガーを皮切りに各祭場で行われ、下地昌明村長ら来賓を刺身やかまぼこ、揚げ魚などの料理でもてなした。
下地村長は「今年もサトウキビが豊作となり、喜んでいるところ。スツウプナカは、穀納時代から続いている伝統行事。祭りを通して、みんなの心が一つになり島が発展することを願っている」とあいさつした。
スツウプナカは1983年、村の無形民俗文化財に指定された。村を挙げた伝統行事には、成人男性のほとんどが参加するという。