先祖はオーストロネシア語族/博物館講座 南方圏の人住み着く
ハドソン教授 長墓遺跡から推測/新たな人骨片出土も報告
2010年度第1回博物館講座が3日、市総合博物館で開かれ、西九州大学(佐賀県)のマーク・ハドソン教授が「長墓遺跡からみる宮古島の歴史」と題して講演した。ハドソン教授は、島尻地区の南嶺の長墓遺跡を調査した成果の一側面を紹介。
「宮古の先史時代(約2500年前~)、台湾や東南アジアなどを含むオーストロネシア語族の人たちが、南嶺に住み着いたかもしれない」と推定した。また2日に遺跡から新たな人骨片が出土したことを明らかにした。参加者らは、先史時代のロマンに思いを馳せていた。
ハドソン教授らの発掘調査は今年で6年目。出土品はまだ完全に解明されていない。これまでの調査から人骨片は2体以上と断定。宮古では、初めて犬骨を発見した。
遺跡からはシャコガイ製貝斧、サメ歯有孔製品、貝製ビーズ(マガキガイ科)、シェルデスク(イモガイ科)、鉄宰(鉄器を作る時に出る鉄くずの塊)、イノシシ骨片のほかに貝殻のヤコウガイ、ヒザラガイ、チョウセンサザエなどが出土した。
ハドソン教授は「鉄宰は1個だけ出土。南嶺の上部などから流れてきたものなのか、まだ断定できない。古代、中国から鉄宰を持ってきた人たちがヤコウガイと交換したのではと推定する人もいる」と語った。
またハドソン教授は、先行研究に触れ「1971年の調査では、『舟形木棺の破片』があったと報告されているが、現時点では見つかっていない。琉球には自生しないタイワンヒノキの破片が出土している。このヒノキは台湾の高地に自生しており、台湾との交易があったかもしれない」と述べた。