貨物船に旅客機能を/美ぎ島美しゃ市町村会 琉球海運に要請
航空機利用できない人対象
宮古・八重山圏域の5市町村で構成する美(か)ぎ島(すま)美(かい)しゃ市町村会(会長・下地敏彦宮古島市長)はこのほど、琉球海運(山城博美社長)に旅客施設の機能を一部併設した貨物船の就航を要望した。沖縄本島を結ぶ宮古・石垣間の旅客航路が停止されていることを踏まえたもの。
まずは身体的理由で航空機が利用できない人が対象。下地市長によれば、同社からは前向きな返答をもらったと言い、「最終的には旅客船の就航を再開してもらいたい。その突破口になれば」と話した。
2008年に有村産業の旅客フェリーが運休してから沖縄本島-宮古・石垣間の旅客航路は停止している。さらには、石垣-台湾間の旅客航路も廃止されている。
要請ではこういった状況を踏まえ、「急速に進む貨物輸送の効率化を目指した船舶の大型化など、採算性重視による旅客部門の撤退は経済的弱者や身体的理由により航空機による移動が困難な人々に対し非常に不利益を与えている」「離島における移動手段は、航空機が主流となっているが、割高な航空運賃そのものは先島圏域住民の生活環境を圧迫する原因の一つともなっている」などと離島の現状を訴え。その上で「複数の交流および移動手段の選択肢を所有することは経済、産業、文化、教育などの交流を深め、先島圏域の振興発展に大いに寄与するもの」と旅客就航を求めた。
要請は、9月1日に下地市長が同社を訪れて要請文を手渡した。同社の山城社長、翁長春雄常務が対応した。
下地市長は6日のマスコミ懇談会の席で、「宮古と八重山の懸案事項として急きょ行った。潜水病や耳の病気などでどうしても飛行機に乗れない人たちを対象に、貨物船の一部を改装してほしいと要望した」と報告。「琉球海運からは『2隻の貨物船で対応できるよう準備を進める』との前向きな返答をもらった」と述べた。一隻20人程度が乗れるよう改装を進める予定という。
下地市長は「最終的には旅客船を就航させなければいけない。最低の基準として、まずは飛行機に乗れない人たちが利用できるよう制度を設けて対処していきたい」と語った。
国交省にも貨物船の一部を改装し、旅客船としての機能を持った船舶の就航を要請する文書を送付したという。