バラスト銅製品「→」符合と酷似/英国のプロ号八重干瀬で沈没
213年前の海底遺物/市総合博物館で展示
16日に開催される市総合博物館(奥平徳松館長)主催の講座「海に残された先人の歴史~宮古の水中文化遺産~」を前に、5日から関連企画の特別展示が同博物館で開かれている。213年前に平良池間島北方の八重干瀬で座礁・沈没した英国探検船「プロヴィデンス号」(406㌧)の遺物とみられる十字状の銅製品などを展示。その銅製品に刻印されている「→」符合が、過去に池間島の漁師らが同干瀬から引き揚げたバラスト(重し)に刻まれている「→」符合と酷似。銅製品はプロ号の遺物を研究する上で、一級の資料と言えそうだ。同展示は、17日まで。
今回は、県立埋蔵文化財センターが、2007~08年度の2年、宮古島などの海域で海底調査・収集した遺物を中心に展示。
3本マスト帆船のプロ号は1797年5月15日、マカオから北海道に向け航行中、八重干瀬で座礁・沈没した。乗組員は、ウイリアム・ブロートン海軍中佐以下115人。乗組員らは、スクーナー船に乗り移って漲水港(現平良港)に入港。宮古の人々の手厚いもてなしを受けた後、イギリスに帰国した。
1997年5月、宮古では「プロヴィデンス号来航200年祭」が開かれた。当時招待されたサー・デビット・ライト駐日英国大使は、池間島に保存されている鋳物製のバラスト2個を見学した。
大使は、バラストの片面に刻まれている「→」符合を確認した上で「イギリスの国防省のマークに間違いない」と断定し「このマークは、17世紀ごろから使用されている」と述べた。
バラスト1個の大きさは、長さ49㌢、幅19㌢、厚さ10㌢。重さ約44㌔。漁師らが、海底から引き揚げた年代は不詳。かつて家を造る際に地ならしに使用し、また青年たちが力試しで持ち上げたりした。