宮古本島で成虫捕獲/アフリカシロナヨトウ
被害例なしも要注意
8~9月に多良間島で大発生し、主に牧草を食い荒らしたアフリカシロナヨトウの成虫がこのほど、宮古本島内で捕獲された。県病害虫防除技術センターが伊良部、下地、来間の各島を含めて計7カ所に捕獲トラップを仕掛けた結果、各地点で10頭未満の成虫をとらえた。牧草を食い荒らす幼虫の確認例や被害の報告はないが、鹿児島県喜界島では新植のサトウキビほ場30㌃が全滅するなどの被害が出ており、同センター宮古駐在では注意を呼び掛けている。
多良間島での被害発生以降、同センターは被害の拡大を防ごうと国内で初めて性フェロモンを使った捕獲作業を実施した。宮古本島の4カ所と各離島に捕獲機を設置して成虫をおびき寄せた。
この結果ほぼ全域で体長10㌢未満の成虫を捕獲。捕獲数は各調査地点で1~10頭と少数であることから、生殖活動の可能性は低いとみられる。飛行ルートなどの詳細は不明だがフィリピンなど東南アジア方面から飛来したと推測されている。
同センター宮古駐在によると「捕獲数が少ないため過度に恐れることはない。これから冬場に入るため増える条件はなく、多良間島のような爆発的な被害発生は考えにくい」と説明。ただ、仮に宮古本島内で生殖を行っていた場合、ここ数週間の間に幼虫が発生する可能性があるとして注意を呼び掛けている。
防除については「早く見付けて早く駆除することが大切」と指摘し①成虫、幼虫が自分のほ場にいないかどうか②牧草などにかじられた跡がないかどうか-などを確認するよう関係各所を通じて生産農家に求める方針だ。
アフリカシロナヨトウによる被害は8月中旬に多良間島で確認され、その後幼虫の大発生に伴って被害が拡大した。食害の勢いはすさまじく、同月末の調査では75の調査ほ場のうち40ほ場で被害を確認。被害の大きいところでは牧草の葉が食い尽くされて茎だけが残る牧草地もあった。過去日本国内で成虫の確認例はあるが、多良間島のような大規模な被害は国内で初めて。
アフリカシロナヨトウに関する詳細や情報は▽同センター宮古駐在(電話73・2634)▽宮古家畜保健衛生所(電話72・3321)▽宮古農林水産振興センター農業改良普及課(電話72・3149)まで。