「子どもの運動二極化」/県学校体育研究発表大会
体育授業、多角的な研究を
県学校体育研究発表宮古大会が26日、平良のマティダ市民劇場などで開催された。東京学芸大学准教授の鈴木秀人さんが特別講演を行い、1980年代後半から運動をする子どもとしない子どもの二極化が始まったと指摘した上で、「子どもの運動をめぐる環境は大きく変化している。学校体育を見直す部分がある」と話し、学校体育授業の多角的な研究を促した。市内3校で公開授業も行われ、県内各校の体育教諭が資質の向上に努めた。
学校体育の充実・発展を図るための研究発表大会で、県学校体育研究連合会と県教育委員会が主催。2010年度は「運動の楽しさや喜びを味わい、健やかな心と体を育む体育学習のあり方」を研究主題に設定した。
特別講演で鈴木さんは、運動の二極化の要因として▽子どもたちの外遊びが減少▽コンピューターゲームの普及で遊びの質が変化した-を挙げた。「運動が苦手な子どもは増加している。運動ができる子とできない子の間には埋めがたい個人差がある」と話し、二極化が深刻な課題であることを指摘して認識の共有を求めた。
その上で、運動ができない引っ込み思案の子どもたちを運動させるための研究内容を報告した。タグラグビーを紹介し、ルール上得点することが比較的優しくて、多くの子どもたちがボールに触れることができる実態を詳細なデータを示しながら説明した。
鈴木さんは「ボールに触れない子、得点したことがない子、コートの隅っこで立っているだけの子をどう救うかが最大の目的。他のボールゲームにおいても研究を進め、そのゲームを行う根拠を考えながら学校体育に取り組んでほしい」と参加教諭に呼び掛けた。
公開授業を行った3校のうち平良中学校では古堅秀樹教諭がバレーボールの授業を公開した。試合前に行うミーティング、試合、試合後の反省ミーティングの順に授業を進めながらゲームの楽しみ方や作戦の立て方を生徒たちに学ばせた。生徒たちは自主性を発揮して積極的に発言し、バレーボールという競技を通して運動の楽しさを体感していた。
公開授業の後は研究発表が行われ、県内各地の体育教諭が学校体育について研究した成果と課題を発表した。