交付金下げ提示/11年産キビ
基準糖度を見直し/農水省原案
農林水産省は2011年産サトウキビの交付金引き下げや、基準糖度帯の見直しなどを盛り込んだ甘味資源作物対策の原案を与野党や関係省庁に提示し、現在、大詰めの調整作業に入っている。今週か来週初めにも決まる見通し。所得減と経営の不安定を招く同案に、生産者側は反発を強めている。
原案は、現行の基準糖度帯(13・1~14・3度)を見直し、新たに基準糖度(14・5度)を設けた。
基準糖度の交付金は、基準糖度帯の1万6320円から460円下げの1万5860円とする。交付金は07年産から今年の春に収穫した09年産まで、据え置かれた。改定となれば、初めてとなる。
農水省は、基準糖度(14・5度)のトン当たり手取額は、2万1546円(交付金1万5860円、原料代5686円)になると試算。これは09年産の14・5度と比べ、335円安くなる。
現行の交付金は13・1~14・3度まで一律1万6320円。幅を持たない基準糖度が設定された場合は、台風の影響による低糖度の年に価格を下げ、経営の不安定を招くと懸念されている。糖度が0・1度上下するごとに、トン当たり100円増減する。
農水省は16日に開かれた自民党の農林部会で同案を説明。きょう17日は、民主党農林水産部門会議で行う。
キビの価格政策は、両会や農水省内三役などの意見を踏まえて決定される。
生産者側は「最近3年の糖度が高いのは、台風接近が少なかったのが要因。天候次第で、価格に大きな変動でるのは経営安定を損ねる」と現状維持を強く求めている。
交付金の財源には、輸入糖に課す調整金などが充てられている。改定案の背景には707億円(10年3月末)に膨らんだ調整制度の赤字の改善や、砂糖の国際相場上昇などがある。