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社会・全般
「2010年回顧」(行雲流水)
普天間で明け暮れた1年だった。政府は安全保障の観点から論じ、沖縄は受忍限度を訴えた。その調整の場が政治であるはずだが、政権与党は迷走、ゴールは五里霧中だ。外交と安全保障は国の専管事項であるとはいえ、〝甘受〟できない場合はどうするかが問われたままだ
▼そんな中、八幡和郎氏(徳島文理大大学院教授)の見方には、ハッとさせられた。沖縄の将来像は①47都道府県の一つ②国内の特別な地域③独立④中国の自治区-の選択肢があるとした上で、②を目指すべきだ、と喝破したからだ(12月9日付琉球新報)
▼「独立」や「中国の自治区」は、旧士族階級の潜在意識の古層になった〝歴史の残渣〟。那覇の新聞紙上では時々、明示しないまでも深読みすれば「独立→中国の自治区」を暗示しているような論調があった。それが白日の下にさらされた
▼一方中国は18年前に、尖閣を自国領土に組み込んだ。中国が経済力をバックに沖縄に触手を伸ばすことは、ありえないことではない。薩摩もヤマトゥもアメリカも人を大量に送り込んでは来なかったが、100万人単位で人が動く中国にはのみこまれる可能性がある
▼国民・県民の意識の〝あいまいさ〟が、〝つけ入るスキあり〟と見られたら、新たな紛争の種になる。「沖縄は国内の特別な地域である」との確固とした意識を持つ必要があるようだ。離島振興は安全保障政策の要であるとの認識を共有すべきだ
▼来年は、沖縄振興一括交付金「特区」が認められ、明るい展望が拓ける年になることを期待したい。