看護職者育成に手応え/県立看護大学
離島での教育実践報告
文部科学省の「質の高い大学教育推進プログラム(島嶼環境を生かして学ぶ保健看護の教育実践)」を進めている県立看護大学(野口美和子学長)の成果報告会が8日、市内のホテルで開催された。これまでの成果については宮古など離島においても質の高い看護職者を継続的に育成できることが報告されたほか、特別講演で野口学長は在宅ケア、地域ケアの推進による看護教育の変革の必要性を訴えた。
この取り組みは、教育方法の工夫改善を目的とした文部科学省の補助事業で期間は2008年から今年度までの3年間。
離島環境を生かして看護教育を行うことにより、看護教育の成果を上げるほか、地域の保健、医療、看護、福祉職および住民の活性化を目的に取り組んできた。
今回の報告会は、「島嶼環境を生かして学ぶ保健看護の教育実践-生活者の視点と協働能力をはぐくむ体系的な臨地実習-」のテーマで行われ、宮古島での取り組みが説明された。
同大学の前田和子学部長は、「島嶼臨地自習モデル型実習」などにより学生、教育、住民などに期待した成果が得られたことを報告。
「今後も継続して取り組むとともに、宮古島だけでなく他島での応用可能性も探りたい。これが実現すれば離島においても自立して活躍できる質の高い看護職者を継続的に育成することができる」と報告した。
野口学長は「島嶼環境を生かして学ぶ保健看護教育への提言」のテーマで特別講演を行った。
野口学長は、少子高齢化社会における保健看護の課題と島嶼看護について「生活習慣病などは地域文化の影響を受ける。その予防や看護にもその地域の生活、文化を理解した上での取り組みが求められる」と訴えた。
そのほか、提言では「これまでの保健看護は高度医療病院や行政組織としての保健所中心からこれからは地域ケア中心となることが大切。在宅ケアと地域ケアの推進のためにも看護教育の変革が求められている」と呼び掛けた。
会場には、医療、福祉など各種機関から多くの関係者が詰め掛け、成果報告や講演の内容などに真剣な表情で聞き入ってた。
きょう9日は同大学大学院主催で「島嶼看護リーダーの持続可能な育成」をテーマにしたシンポジウムがホテルアトールエメラルド宮古島で開催される。