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社会・全般
「詩人谷川俊太郎」(行雲流水)
谷川俊太郎が詩と人生を語る『ぼくはこうやって詩を書いてきた』が出版された。詩人が10歳から77歳までに書いた詩から88編を取り上げて、詩人と良き読み手である山田馨の対談をまとめたものである
▼山田氏は「谷川さんが、どんなふうに人生を生きのびてきたのか、そして、その人生という鉱脈からどのように詩のことばを切り出してきたのか、そのようなことを、聞きたいと思った」と書き、谷川氏は、まともな生活者の視点で詩を読んでくれることに感謝する
▼生きることや、詩を作る喜びや苦しみを率直に語り合う二人の相互信頼と誠実さ、自由な探求心が対話の内容を深く豊かなものにしている
▼『二十億光年の孤独』を引っさげてさっそうと登場したとき、そこには広大な宇宙に向かい合う孤独な少年がいた。人を愛し、結婚や離婚を経験する過程で「人」を意識する。続いて「人々」に関心が向かう。「(拒む)」。山は詩歌を拒まない/雲も水も星々も/拒むのはいつもヒト/恐怖や憎しみで、饒舌で」。詩人の現代社会への批判が込められている
▼現代詩は難解だと言われるが。詩人は語る「詩は意識下から落ちてくる。みんなは集団的無意識の次元ではつながっているから、自分の詩が意識下の深みに触れることができたら、みんなとつながれるはずだ」
▼「詩はベートーベンのように苦しみ悩んで書いているが、モーツァルト風に見せたい」と彼は語っている。詩のことばの美しさと、秘められた深い意味を感じたい。