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社会・全般
昔の正月の遊びをおもいながら/柳ヶ瀬 清美
ペン遊ペン楽2011.2.10
〈作って飛ばしたい宮古凧〉
正月気分はもうとっくに抜けたが、あっちこっちで凧作りや凧揚げ大会が盛んだ。私も近くの公園に子供たちを連れ出し凧揚げをした。凧揚げは大好きだ。
毎年思うことは子供たちの経験不足。いかに高く上がり、いかに長く空にとどまるかが凧揚げの面白みなのだが、ただ走るのみ。止まると凧が落ちるとひたすら走るのだ。
凧はバランスだし、それさえ悪くなければどんどん上がる。どこのどんな凧だって。だが凧作りには苦い経験がある
東京での保育士(そのころは保母)一年生の私。正月の頃にデイリーの中に凧作りを取り組むことになった。3歳児担当だったので子供にも簡単に作れてよく飛ぶ凧を作ることになった。複数担任のうち一人が凧の原型を考案することになり、それが私に回ってきた。
頭の中にあるのは幼い頃に正月に空高く飛んでいた宮古凧。方眼紙のように竹ひごを組み、帳面を三角にして羽根を付け、足を2本つけた凧である。必死で思い出しながら原型のミニ見本を徹夜で作った。
翌日、「これです」ともう一人の先輩担任に堂々と差し出すと、その先輩、クエスチョン?
これ凧ですか? これ飛ぶんですか?と聞かれ、凧ですかって、見たらわかるでしょ?飛ぶんですかって飛ぶにきまっているでしょ?と先輩の反応の悪さに内心そう返しながら、宮古の凧はこれの何倍もの大きさで本当によく飛ぶんですと自信満々に答えた。
何をどう説得して宮古凧が採用され、子供たちにどう作らせることになったかはよく覚えていないのだが、とにかく四角の宮古凧が園庭に飛ぶはずだった。
が、これが全く上がらないのである。走る子供の後から地面を引きづられるように、くるくると回るのは何を隠そう自慢の日本一の宮古凧。たこたこ揚がれ宮古凧。願いかなわず、園庭には「あがらなーい、とばなーい」との子供たちの泣きそうな声だけが大きく上がっていたのだ。かびいとぅう(紙の鳥)は簡単には作れない。綿密に計算され、いかにバランスよくするか、難しい。あれ以来、凧製作はもっぱら簡単ですぐに揚がる内地凧にしているのだが、またひそかに作ってみようかなとも思っている。いつか賀正と書かれた宮古凧が内地の空で大きく舞うのが楽しみだ。
〈まりつき遊び〉
25セントと10セントのゴムまり。
これで競うように技を磨いたものだ。昔々近所の子たちは皆まりをついていた。今はまりつきって何?と聞いてくる子供たち。児童館でも、投げるか蹴るかだけの子供たちのボール遊びにもう一つ技を入れると興味を持った子が何人か集まってきた。得意の「いちもんめのいいすけさん」を披露すると僕も私もと、まりの奪い合いである。だがだが、ついているよりも飛び回るまりを追いかけることのほうが忙しい。
初めての子に、いきなり「いちもんめ…」はちょっと難しいので、「あんたがたどこさ」でつく。つくのに慣れたら、さ、のところで足の下からまりをくぐらせる。そして唄の終わりの「それをこのはでちょいとかくす」のところはまたの下をくぐらせてお尻のところでボールを受けとる。何回も練習すると必ずできるようになり、皆の前で披露できる子供も出てきた。やはりこれも体を使って覚えること以外ないので、覚えて楽しんでいる様子は、昔の子供だった私たちと一向に変わらない。「いちもんめのいいすけさん」も練習すれば何のことはないだろう。地味で素朴な遊びだが凧揚げと一緒で夢中になる遊びが一つでも増えればいいと思う。
(宮古ペンクラブ会員)