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社会・全般
名古屋の英雄/渡久山 春英
ペン遊ペン楽2011.2.24
徳川家康が築城した名古屋城の夜の天守閣は、照明に照らされて威容を見せつけていた。去る2月6日の名古屋市長選挙の夜のことである。天守閣をバックに河村たかし氏はテレビに映しだされた。当選のよろこびを体いっぱいに表現していた。当確の知らせを受けるや、支持者にバケツの水をかけられ、テレビのインタビューには「苦しい市民の税金で楽をしている議員」と声高に、しかも、自信に満ちた応答ぶりを見せていた。自らの給料も減額し選挙期間中も、市民税減税の恒久化、議員報酬の半減、議員定数の半減を訴え、日本中が注目した選挙だった。結果は他の候補者に大差をつけて勝利した。勝利した要因は「庶民感覚の政治」である。その政治信念が市民の心をとらえたようだ。まさに、江戸時代の上杉鷹山を思わせる。上杉は節倹を励行し、行政の刷新、産業の奨励に努めた人物である。もちろん納税は国民の義務であることはいうまでもない。
河村氏は市の財源について、減税をてこに企業や人を呼び込めば、市や県の経済が活性化し、結果として税収が増えて福祉も充実すると主張している。このことは小生にはよく分からないが、とかく議会優遇の社会においては、名古屋市が先鞭をつけたことに拍手を送りたい。今回の名古屋市の市長選挙は、日本の地方自治体に大きな波紋を及ぼすにちがいない。宮古島市の議会も議員定数減を唱える人、議員報酬の減額を訴えて立候補すれば、上位当選は確実だと思う。政治の流れは変わった。これまでの既存政党に固執するようでは、時代に遅れてしまう時勢になったようだ。有権者も支持政党ではなく、人を選ぶ時代になったように思うこのごろである。2月2日には税務署のパソコンで確定申告を済ませ気分爽快である。
尾張平野の大都会の名古屋市。河村市長は個性豊かで、言葉も名古屋弁を思う存分使い、聞いていて豪快だ。だれにもふるさとはあるが、一般の人は出身地の言葉を避けて、東京語を使うことを美徳としている今日、河村市長の独特な言い回しは親しみがあり、ふるさとを大切に思う心が、政治信念にまで現れているようだ。言葉はふるさとの文化である。そのことに人々は信頼感を覚えるのである。宮古でいう「タカブリー」としない庶民派的存在である。
政治は公約が一人歩きしてはならないといわれる。しかし、公約通りにいかないのが政治の世界であるようだ(国会)。2011年度の宮古島市の予算が内示された。新規事業もさることながら、花粉症逃避ツアーも画期的な健康アイランドの発想である。4月から共用開始予定の市陸上競技場は、スポーツアイランドの中枢を担う市民の待望の施設となろう。また農業王国をめざして農業アイランドと銘打ってもどうだろうか。ところが、トゥリバー埋立地を知る多くの市民の中には、何回も植えかえられる植木について、枯死する情景を見て「塩漬け」と揶揄する人もいる。市に一考を促しているのである。来島者に美しいトゥリバーから美しい海に架かる伊良部大橋を楽しませてあげようではないか。
(宮古ペンクラブ会員)