「解体はすでに議決」/旧平良図書館
市議会全員協で再確認
市民グループが旧平良図書館の建物の存続を求めて1万609人分の署名を市に提出したことについて、市議会(下地明議長)は24日、議員全員協議会を平良庁舎で開いた。昨年12月議会で同建物の解体費用を議決していることから「すでに決まったもの」とし、議決通り解体する意思を確認した。議員からは、下地敏彦市長が「1万人の署名を集めたら考える」と発言したことを疑問視。「市長は夢を与えたので市民グループは一生懸命に署名を集めた。建物存続に向け前向きに検討する責務がある」との声が上がった。
下地市長は署名が提出された1月31日に「1万人の署名というのは、地元市民の有権者だった」と述べ、市議会の意見を聞いた上で判断するとしていた。
議員全員協では、市側が継続使用する場合の改修費用は約9400万円になることや、建物内部にアスベストが使用されている可能性があることを説明。さらには、1万609人分の署名のうち、地元市民は4600人分で残りは島外の人、中にはインターネットからの署名であることも報告した。
議員からは「署名は地元の意見が大事」「署名は街頭活動や個別訪問で集めるべき」などと署名内容を疑問視。その上で「以前から危険建物だとの認識があり、すでに議会でも議決されている」とし、議決内容を優先し建物の存続には反対する考えを示した。
一方で野党議員からは、「下地市長も危険な建物であるということは承知していたはず。しかし、署名を集めたら考えると発言した」と述べ、市長自らが示した1万人分の署名が提出された以上、建物存続への方策を探るなど市民グループに誠意を示すべきだとした。
下地議長も「議会で議決したのに市長から戻ってくるのはどうか」、野党議員からは「議会軽視だ」との発言もあった。
市議会では下地市長の休暇の明ける来週初めにも「議会は議決しており、市長が検討すべきもの」などとした市議会の意思を伝える方針。
署名活動を行った「旧市立図書館の活用を考える会」の友利昭子代表は「議員は市長に押しつけずにきちんと話し合いをしてほしかった。いったん議決したことは覆せないと言うが、多くの市民や島外の人たちの署名に耳を傾けてほしかった」と話し「今は成り行きを見守るだけ」と語った。
下地市長が今月21日に「多くの予算を掛けて改修した場合、新図書館の建設が難しくなる」と発言したことに対し「私たちの活動が新図書館建設の支障になるとは思ってもいなかった」と戸惑いも見せた。