6~12億年前の南極岩石寄託/市博物館に小元さん
地殻変動の歴史刻む
元日本大学教授で日本南極地域観測隊に参加したことがある自然地理学・地球年代学専門家の小元久仁夫さんが25日、6億~12億年前のものと見られる南極産岩石やパイプ貝化石など63点、約80㌔を市総合博物館に寄託した。博物館では、今後企画展を行い、児童・生徒の教育教材として活用していく計画を立てている。
岩石は、火成岩、変成岩、堆積岩の三つに分類される。寄託された岩石は、変成岩の一種。
変成岩の多くは、原石が地殻変動で地下の深部に引きずられて潜り、高温高圧力によって変成作用を起こし、再び上昇して出来たものとされる。
小元さんは、1968年と72年の2回、日本南極地域観測隊員として参加。南極圏内の東オングル島にある日本の昭和基地周辺で表面出土の変成岩などを持ち帰って分析研究した。今回の寄託はその一部。現在、南極からの岩石などの持ち出しは、南極条約などで禁止されているという。
寄託されたものは、氷河の流れによって研磨された岩石や強い風力で浸食された岩石、雲母などがあり、地殻変動の歴史が刻まれているとしている。
小元さんは「私が個人的に保管するより公の場で保管し、地域の教材に活用してほしいという思いから寄託することにした」と語った。
小元さんは、これまでに城辺海岸で見られる石灰華段や津波石などに関する調査研究を実施し、市教育委員会に報告している。今後も津波石を研究し、打ち上げられた暦年を想定していくと意欲を示している。
宮古島の地質に詳しい安谷屋昭さんは「寄託された南極産岩石は、貴重な資料。展示された場合は、中学生や高校生に勉強してほしい」と話した。