旧平良図書館は解体/下地市長
「残すには無理がある」
下地敏彦市長は、旧平良図書館の建物を解体することを決め28日、建物存続を求め1万609人分の署名を提出した「旧市立図書館の活用を考える会」の友利昭子代表に伝えた。友利代表は「1万人の思いを無駄にしてほしくない」と話したが、下地市長は「残すには無理がある」として、同図書館の写真をはめ込んだ記念碑を解体後の跡地に建てることで理解を求めた。建物は今月中に解体される。
下地市長は、同図書館の存続について「1万人の署名が集まったら考える」と話していたが、同考える会が島内外から1万人を超える署名を提出した1月31日には「1万人というのは地元有権者だった」と述べ、さらには「市議会の意見を聞いて検討する」と返答した。
市議会は2月24日の全員協議会で、昨年12月議会で解体費2100万円の予算を議決していることから、計画通り解体すべきとの結論に達した。ただ、議員からは「市長が検討すべきもの」と、議会にげたを預けた形の下地市長の姿勢に不満の声も上がった。
下地市長は、友利代表に市議会の意思を伝えた上で、仮に建物を存続するとなると改修費用が約9400万円掛かることや年間の維持管理費が約2500万円に上ることを説明。「皆さんの思いは理解できるが、その思いを遂げるためには金がいる」と語った。
友利代表は「市長と議会との対立が感じられる。残念ですが私たちの活動はこれで終わります。私が最初に描いていた夢を市長と共有したかった」と述べた。
市管財検査課によると、図書館の建物解体の入札は4日に行う。2週間ほどで解体作業は終了する。跡地の一部は小公園や駐車場にする計画。
考える会は、同図書館は文化的価値があるとして、約1カ月間にわたり家庭訪問や街頭、電話などで署名活動を展開した。建物存続が決まれば、宮古にかかわるすべての文学や絵画、音楽などを一堂に展示し、宮古の文化発信の拠点にする構想を立てていた。