宮古方言は消滅危機言語/「未来のみゃーくふつを考える」
かりまた教授が特別講演
宮古島市文化協会(友利吉博会長)主催の芸術劇場「未来のみゃーくふつを考える」講演会が30日、琉球大学法文学部のかりまたしげひさ教授を講師に迎え、マティダ市民劇場であった。かりまた教授は消滅の危機にある宮古方言の位置付け▽琉球語に包含される沖縄各地方の方言の多様性▽宮古方言を消滅から守るために必要な手立て-などを中心に講演した。
かりまた教授は「消滅危機言語は子どもたちがその方言を『母語』として習得していない言語で、これは繁殖能力を失った動物と同じく継承することができないため、遠くない将来に消滅する可能性が高い」と指摘した。
1990年にユネスコは宮古語を含め六つの言語(方言)を世界の消滅危機言語として認め、継承普及を図る必要があると訴えている。
かりまた教授は「方言消滅の危機的状況をつくり出したのは19世紀以降の西洋化、近代化とともに日本的、地方的なものは劣ったものとして軽んじられ、豊かな地方文化を支えてきた方言も軽視されたことが原因の一つに挙げられる」と述べた。
さらに「琉球語は沖縄諸島、宮古諸島八重山諸島、奄美諸島で話されてきた伝統方言の総称で、標準語、本土方言、琉球方言と分けられる日本語の中でも琉球方言はマイノリティーに位置する。宮古方言はさらに少数派になる」と説明した。
また、「沖縄の方言や文化が見直され始めている今、宮古方言を継承するためには辞書や文法書の編さんをはじめ、方言による新しい民話や童謡の創作など言文一致運動が欠かせない」と提言した。
かりまた教授は宮古方言の特徴の一つとして「ハナがパナ、ヘラがペラに変化するなど、ハ行のハホヘヒのhがpに変わる。よく知られた特徴だが、極めて重要な点である」と説明した。
その理由の一つとして「奈良時代以前の日本語が『ハヒフヘホの発音がパピプペポ』だった。宮古の方言はhがpに変化したのではなく、奈良時代以前、2000年ぐらい前の日本語の発音が残っていると考えるのが正しい」と指摘した。