津波石や植物群落など紹介/東平安名崎の自然と歴史展開幕
122点の動物剥製も
市総合博物館(奥平徳松館長)の第17回企画展「東平安名崎の自然と歴史」が30日、開幕した。5月29日まで。津波石(岩塊)や特徴的な植物群落、アオムロの浜揚げ風景を収めた写真などのほか、動物の剥製122点が展示され、訪れる人の目を楽しませている。ゴールデンウイーク期間中(1~6日)の小・中・高校生の入館料は、無料。
岬東端で見られる岩塊群の一部は、津波によって移動したと推測。岩に付着するサンゴ片の年代推定の結果、1771年の明和の大津波以前に数回の津波があったとみられるという。
別の一部の岩は、台風の高波の影響で、本来の場所から移動。岬が形成された12万年~11万5000年前の海面は、現在よりかなり高く、波の影響力は強大だったと推測する。
パナリ岩礁については、アジサシが子育てに奮闘する姿などを紹介している。パナリは、アジサシの貴重な繁殖地。保護のために今後は、繁殖期の立ち入り禁止措置を取ることが望まれるとしている。
自生する植物のうち、テンノウメ群落は、日本最大規模。希少種のミヤコグサや、インドカズラも特徴的な植生という。1980年代中頃に姿を消したイラブナスビについては、回復の必要性を提言する。
剥製は鳥や爬虫類、両生類、エビ・カニ類など多種類。姿がやや大きめのコグンカンドリやかわいらしいヤツガシラなどが目を引く。
アオムロの浜揚げは、男女がにぎわう昔懐かしい光景。アオムロを平等に分配する様子を収めた写真もある。
東平安名崎は、「美女のマムヤ」伝説が伝わる地域。1317年に中国に漂着した「婆羅(保良)」の「密牙古(宮古)人」を、故郷に帰還させたという史実もある。東平安名崎一帯は、昔のロマンの息づく地域でもある。
今回の企画展は同地の自然と歴史を振り返り、今後どう残していくかを考える機会にしようと開いた。内容は国の名勝指定にかかわる報告書に基づいて編成した。