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社会・全般
マンゴー船舶輸送
輸送企業の連携不可欠/課題はコストと品質維持
宮古島産マンゴーの船舶輸送が始まる。今期は7月中旬以降の出荷ピーク時に実施、主に個人顧客用を船舶に搭載し、大型市場や量販店向けは航空機で本土へ運ぶ。船舶輸送に伴う品質管理やコスト面の不安はあるが、船舶輸送は必要不可欠な手段だ。
■船舶輸送の必要性
宮古地区のマンゴー生産量は年々増加。今期は470㌧前後を見込むが、来期以降は生産面積の拡大とともに500㌧超えが確実な状況にある。数年後には800㌧となり「将来的には1000㌧以上に達する」(生産者)と予想されている。
船舶輸送案が持ち上がったのは、航空機の輸送能力に限界があるためだ。貨物を取り扱う航空2社で積み込める量は産地協議会(県や市、JA、生産者で構成)の調べで日量約18~20㌧。期間中のマンゴー全体取扱量は約400㌧だという。
今期宮古島産マンゴーの出荷量は470㌧前後、出荷ピーク時の日量は25㌧を予想しており、すでに航空機輸送の限界を超えているのが現状だ。
上野地区でマンゴーを栽培する上地登さんは「船舶輸送は絶対条件。われわれが生き残るためには避けて通れない道だ」と話す。
■船舶輸送の課題
船舶輸送の課題は輸送コストと品質維持にに集約される。
輸送コストは航空輸送に比べて割高になるとみられる。すべての経路で冷蔵輸送を必要とするためだが、輸送時間がかかる上にコスト高では生産者にとっては悪条件が重なる。産地協議会の砂川政文副会長は「船舶輸送でいくしかないが、コスト面で生産者の理解が得られるかどうか…。難しい問題だ」と言う。
品質の低下も気になるところだ。個人顧客用を扱う船舶輸送の場合、顧客に商品が納品されるのは最短でも5日後になる。出荷の時期によっては6日後になるという。
上地さんは「糖度や味については問題はないと思うが、香りがなくなってしまう可能性がある」と指摘。砂川副会長も「フルーツ特有だが、見た目に若干の影響が出るかもしれない」と懸念している。
■輸送関係企業の連携必要
「漠然としてよく分からない。上手には言えないけど、みんながばらばらで不満だ」
4月27日、行政や航空各社、運送会社、郵便事業会社などで構成する青果物流通対策推進協議会にオブザーバーとして参加した生産者が協議の進行に率直な意見をぶつけた。
船舶輸送を実施すれば現状と比べて貨物取扱量が変動し、関係各社の利益に直接影響が出てくる。このため議論が平行線をたどり、生産者の不満を買った。
ただ、船舶輸送において輸送関係企業の協力は欠かせない。輸送能力の限界という現実を突き付けられている以上、各課題における生産者の一定の理解も必要になろう。
上地さんは「関係者が心を一つにして取り組まなければならないと思う。みんなで情報と責任を共有して取り組みたい」と語る。
船舶輸送は不安定要素を抱えたまま実施されるが、将来的な生産量を考えれば必要な輸送手段と言える。今後のマンゴー産業の発展は、生産者と輸送関係企業の綿密な連携に託されている。