大橋完成は14年3月に/伊良部
当初予定より1年遅れ/主航路部設計ずれ込む
【那覇支社】建設が進められている伊良部大橋(総延長6・5㌔㍍、橋梁区間3・54㌔㍍)の完成が当初計画の2012年度末(2013年3月)より大幅に遅れ、約1年後の13年度末(14年3月)にずれ込むことが17日、分かった。関係者によると07~08年度に予定した主航路部橋梁(420㍍)の実施設計が1年遅れたため、同橋梁を支える橋桁部分の着工が遅れたことが主な要因。大橋の完成遅れによって、予定する諸事業が遅滞し圏域行政、経済などにも影響を与えるのは必至。県は近く事業期間の見直しについて正式発表する予定だ。
完成遅れの原因となっている同大橋の主航路部は06年11月に実施した風洞実験の結果、当初計画した「鋼中路式アーチ橋」が、耐久性の点で問題のあることが判明。橋種の見直しが必要となり、主航路部橋種検討委員会(委員長・上間清琉球大名誉教授)で07年度から再検討を開始した。08年10月の同委員会において橋種を「鋼床版箱桁橋」にすることを最終決定した。
そのため、同部分の実施設計が当初計画の08年度終了から09年度にずれ込んだ。橋種の変更によって、その下部にあたる橋桁部分の工事内容も変更されたことから、同部分の工事完了が当初の10年度末に間に合わず11年度末になるという。
また、主航路上部の橋梁部分は現在、三つのJV(共同企業体)に分けて発注済みで、12年8月31日までを期限に施工が進められている。東日本大震災発生による建設資材調達難などの影響は今のところ出ていない。
ただ、資材の供給不足は県内、宮古圏域内でも既に発生しており今後、公共、民間工事での資材高騰などが懸念されていることなどから、巨大プロジェクトの事業遅滞は地域経済に懸念材料を与えることは必至とみられる。
宮古島市の建設関連業者からは、「設計の遅れによる工事の遅れならば、初めから分かっていたはず。もっと早い時期に知らせるべきだ」、「大型公共工事の停滞は民間事業者にも影響する。資材の値上がりが出ているだけに今後が不安だ」などの声が上がっている。
また市民からは「宮古全体の夢が1年遅れた気持ち。大橋の完成で、宮古の観光振興にも期待を寄せていただけに残念」との声があった。
市伊良部商工会の大浦貞治会長は「完成を楽しみにしていた子どもたちが落胆しないよう、励ましていきたい」と話した。